注意
このSSはキャラが死ぬときがあったり、キャラの性格が激変したりと、ダークな部分があります。
そういうのに不快感を持つ方は、読むのをおやめ下さい。
とある北の街で奇跡が起きた。
そこに生まれようとしていた絶望は消え去り、皆の泣き顔は笑顔になった。
奇跡の中心にいた少年は安心した。これでまたいつもの笑顔が溢れる日常に戻れると。
それが
もう二度と訪れることのない夢だと、その時は知るよしも無かった。
仮面ライダー
〜Living With You〜
第一話「All night long(前編)」
「じゃあ皆、行って来る」
騒がしい喧騒がおさまらない駅の中で、奇跡の中心にいた少年「相沢祐一」はボストンバッグを肩に担ぎ一時の別れの言葉を交わしていた。というのも祐一のいつも忙しい両親が上手く休暇を取れて実家に帰省するというので、祐一もそうすることにしたのだ。
「祐一、早く帰って来てね?」
「祐一くん、ちゃんと帰って来るよね?」
「祐一ぃ…」
従姉妹の名雪、居候2号、3号のあゆ、真琴が心配そうに言う。
「だ・か・ら、高校卒業するまでは此処にいるっていっただろ?」
少々呆れ気味に言う。
この三人は帰省が決まったその日からこうして同じ事を何度も聞いてくる。
「名雪、あゆちゃん、真琴。そろそろ行かせてあげなさい。祐一さんも困っているでしょ?」
名雪の母であり、祐一の叔母にあたる秋子が三人を優しく諭す。
「そうよ名雪。相沢君はちゃんと帰ってくるわよ」
「祐一さん!帰ってきたら一緒にアイス食べましょうね!」
名雪の親友の香里が賛同し、その妹の栞が元気よく祐一に言葉を送る。
「祐一、怪我はしないように」
「あはは〜。帰って来たらスゴイお弁当をお持ちしますよ〜」
先輩の舞と佐祐理も心配しながらも見送る。
「相沢さん、道中お気を付けて」
礼儀正しすぎる言い方をしたのは、真琴の親友兼教育係の天野美汐だった。
「天野……おばさんくさいぞ」
「毎度の事ですが物腰が上品だと言ってください」
不満一杯に言うが、その顔には僅かながら微笑が見て取れる。
みんな変わった。
暗い影のあった娘達も少しずつだが明るくなっている。
「祐一さん、姉さんと義兄さんによろしくと言っておいてください」
「はい、了解しました」
冗談めかして敬礼のポーズで返事をしていると、電車の発信ベルがけたたましく鳴りだす。
「おっと時間だ。じゃあな皆、また」
電車の戸が閉まりガタンゴトンと動き出す。
『じゃあね〜』
名雪達が手を振り、祐一も窓から手を振りかえす。そしてどんどん遠ざかっていき、小さくなり、やがて見えなくなった。
ぎゅ
急に真琴が天野の袖を強く掴んだ。
「真琴?どうしたの?」
真琴の行動に天野は声をかける。が
「…ううん。何でもない」
真琴は天野の方を見ずに応えただけだった。
何だろう、この気持ちは?
真琴は胸に突如飛来した不安を拭えずにいた。
◆ ◆ ◆
祐一は電車から降りると、これまたデカイ駅内に足を進めた。中は沢山の人達でごった返しており、その中から自分を待っている両親を探すのは、流石に骨がおれるとゲンナリする。
さて、どうしたものかと考えていた矢先、人ごみの中から
「おーーーい祐一!!ここだここだぁ!!」
ドでかい声で自分を呼ぶ大人がいた。周囲の人達の視線が全て突き刺さる。
「あんの親父は……!ホントに大人かってぇの」
はぁ、とボヤくと、不精髭が様になっている父『祐介』の方に向かう。傍には秋子によく似た容姿の母『夏子』の姿もあった。
「久しぶりだな祐一。元気にしてたか?って聞くまでも無いか。
良い面構えになったな」
祐一よりも頭一つ分大きい祐介が、祐一を見下ろしながら言う。
「祐一、もしかして…記憶が戻ったの?」
夏子がもしやと思い尋ねる。
「全部戻ったよ。その他にも色々とね」
詳しいことは後で話すと言い、三人はやっと来た新幹線に乗り込んだ。
「…そうか、そんなことが」
「大変だったのね、祐一」
窓の外で景色が風の様に流れていく中、祐介も夏子も神妙な顔をして祐一の話を聞いていた。
今にしてみれば、あの冬の一ヶ月はそれ自体が夢の中にいたようにすら思える。
それでもあの時間は間違いなく現実で、それは今も続いている。
「これからどうするつもりだ?」
祐介は真剣な顔で聞いた。
【お前はこれからどうするんだ?】
そう聞いているのだ。
「ああ。あの街にいる間はずっと一緒にいるつもりだよ。あいつらに付けた『傷』の償いは全然終わっていないしな」
今はただ「過去」と向き合い、自分の付けた傷に気付いただけにすぎない。償いはこれからだ。
新幹線はトンネルに入り、景色が黒一色になる。もう少しで生まれた故郷に着くはずだ。
「そっか。祐一も大人になっ」
ガオンッッッッッ!!!!
突然の爆発音が祐介の言葉を遮り、次に車内を衝撃が襲った。蛍光灯は明滅し、通路に転げ落ちる人もいた。
夏子は音の発生源を探して窓に目を向け、愕然とした。
「あなた!祐一!み、見て!!」
夏子の悲鳴に近い声に二人も窓に目を向け、同じく愕然とした。
「なっ!…車輪が…」
「吹っ飛んでいやがる…!」
車輪が火花を吹いて燃えていた。
車輪の破片がバラバラと崩れ落ち、それに比例するかのように振動も目に見えて増していく。
先にある未来は「横転」の二文字だった。
『皆様落ち着いてください!本只今スピードを落とし、安全に停車しようと奮戦しております!』
こんな中でもプロとしての姿勢を崩さない車掌には尊敬の念すら覚える。
その内電車は僅かながら安定し、スピードを落とし始めた。
『乗客の皆様。なんとか停車できそうです。ご安心下さいませ』
そのアナウンスに安心と喜びの声が上がる。祐一達も安心し、椅子に座り直した。
だが、異変はここから始まった。
『皆様シートベルトを着用し
な、何だ君達は…うわぁぁ!!
あー、あー、本日は晴天なり〜。乗客の皆様〜本機はたった今我々にハイジャックされました〜』
機長の悲鳴が聞こえなくなると、間を置かず、やけに楽しそうな別人の声が機内に響いた。
『ちなみに車輪を爆破したのも我々なので悪しからず〜』
何を言ってんだ、こいつら。
祐一にはテロリストが狂ってるとしか思えなかった。もしかしたら自分達も横転して死んでいたかもしれないのに。
頼みの綱の機長は先程のアナウンスから無事ではないだろう。乗客は見え始めた希望がぬか喜びと化した事に再びざわつき始めている。
だがテロリストはあろうことか、それに拍車を掛けた。
『他の場所もそろそろ吹っ飛ばそうかな〜』
パニックが起きた。
乗客は我先にと出口へと走る。しかし、どこにも逃げ場は無い。祐一はどうすればいいか考える。
少なくとも周りの様に慌てたりはしていない。
(考えろ。考えるんだ。どうすればこの状況を乗り切れるかを。皆と約束したんだ。また帰ってくるって。
もう約束を破るわけにはいかないんだ!考えるんだ!!)
祐介はパニックに陥っている人々を横目に、もう一度外を見た。
いずれ止まる列車。
中には訳の分からないテロリスト。
止まってもそこは暗いトンネルの中。
おそらく全員は逃げ出せないだろう。
次に祐一を見る。
祐一は席に座り何かを考えている。その姿には三か月前のあどけなさは無く、大人に成ろうとしている一人の男性が居た。
(これなら大丈夫だ。俺が居なくても…。)
やつらの目的が何かは知らないが、騒動を起こせばそのドサクサで一人くらいは逃げ出せるかもしれない。
その時は誰よりも祐一を最優先で逃がす。自分は父親なのだ。世間に最低と言われようと大切な一人息子を死なせる気など毛頭無い。
「祐一。大事な話がある」
座っている祐一と同じ目線にする。
「話?」
祐一も思考を中断して祐介を見る。祐介は周りに気を配りながら小声で話し出した。
「よく聞け。もしかしたらこの中から脱出できるかもしれない。機会が出来たらお前が真っ先に逃げろ。いいな?」
「なっ…!?」
空いた口が塞がらなかった。目の前の父親は今何と言った?
自分だけ逃げろ?冗談では無い。
祐一は思いっ切り祐介の胸倉を掴んだ。
「ふざけるな…!父さんと母さんを見殺しにして俺だけ逃げろと?
そんなこと俺は絶対しないからな!」
周りに聞こえないように声を押し殺しながらも、完全拒絶の意を篭めて言う。既に祐介とほぼ同じ背丈になっている祐一の目線が交錯する。
(ああ。本当に大きくなった)
前までこんな事を言わなかったのに。嬉しく思う半面残念にも思う。
親の心 子知らず
少しは親の気持ちを察して欲しいが無理からぬものかもしれない。
「祐一。俺はお前の父親だ。お前の為なら喜んで命を捨てるし、喜んで命を奪える。
だから生きてくれ。
こんな所で死ぬな。
俺達は自分の命よりお前の命が何よりも大切なんだ。
な、母さん」
「ええ。もちろんですとも」
いつの間にか祐介の後に立っていた夏子に振り向かずに聞く。その答えは自然と、本当に自然と出てきた。
日は東から昇って西に沈むのと同じ様に、自然と。
「母さんまで…」
祐一は胸倉から手を放すと、シートに力無く座り込んだ。
「二人とも何言ってんだよ…」
顔を手で覆い、やっとの思いで言葉を絞り出す。
夏子はうなだれる祐一の肩に、優しく手を置いた。
「ねぇ祐一。あなたは私達が見ない間に随分と成長したわ。七年前の事を乗り越えて、忘れていた記憶を取り戻して、そして今のあなたがいる。気付いて無いかもしれないけど、あなた凄く男らしくなったわ。もうあなたは子供じゃ無い。立派な大人よ。
だから私達はあなたをなんとしてでも『生かす』わ。この身を犠牲にしてでも、あなたが生きて幸せになってもらう『道』をつくる」
ゆっくりと、しかし力強く、自分達のすべきことを言う。
その覚悟に祐一は目を見開いた。そして見た。両親の『重さ』を。
でも…納得なんて出来ない。出来るわけがない。
「何だよ、それ」
目を見開いたまま震えた声を出す。
「何だよそれ!
犠牲の上に出来た道に何の意味があるんだよ!!ましてや自分の親を犠牲にした道なんかに!」
手を強く握り締め、周りも気にせず、大声で叫んだ。
「第一、母さん達はどうすんだよ!もし俺が助かっても自分達は死んじまうんだぞ!それでいいのかよっ!!」
声の限り叫んだ。
◆ ◆ ◆
やっぱり祐一は変わっていない。いくら大人に近づこうとも心底にある本質、優しい所は全く変わっていない。
夏子はその叫びを全て受け止め、その中にある真意も汲み取り、それでも
「それが親ってもんなのよ」
柔らかく、自信に満ち溢れた笑顔を浮かべ、祐一の叫びを肯定した。
「!!!!」
もう、何も言えない。何を言っても自分はこの二人には勝てない。俯き、唇を噛み締め、今でも自分の中で渦巻くガキみたいな気持ちを押し殺す。
この人達は本気だ。本気で俺だけを逃がす気だ。クソ!!!何て無力なんだ、俺は……!
いくら無力を嘆いても、今の状況は変わらない。遂に列車はその走りを終えた。
「さあ、行「ソ〜はイきませんよ〜!」
祐一を促そうとした祐介の声を馬鹿みたいに明るい声が遮った。さっきのアナウンスと同じ、軽快で不愉快な声。
長い廊下の向こう、運転席のドアが開き、中からこの事態を引き起こしたであろう人物がゆっくりと出てきた。
年はニ十代半ば。まだ若々しい顔には狂気じみた笑顔を張り付かせている。
そしてその姿は異様。
両肩から胸までを覆う、中央に翠色の丸い宝石が埋め込まれた、大きな黒いプロテクター。
そこから身体全体を包む様に垂れ下がる白いローブ。
ファンタジー小説に出てくる魔導師を意識した姿だった。
「しまった…!」
まだ早すぎる。
祐介の顔が苦渋に歪む。せっかく祐一を逃がせる気持ちが固まったのに、これでは全てが水の泡になってしまう。
「いけないね〜。そんなオイタは〜」
完全にこちらを小馬鹿にした態度で、教師の説教の様に言う。
「皆さんには、これから世界の役にたってもらうので気楽にお願いしま〜す。
それでは右手の方をご覧くださ〜い」
バスガールの手つきで列車の小窓を指す。それに祐一達を含めた全ての乗客の視線が集中した。
「な、何だあれは!!!?」
窓の外、薄暗いトンネルの壁に、芋虫をイメージさせる巨大な重戦列車が貼りついていた。
車輪はムカデのような気味の悪い幾本もの脚となっており、芋虫特有の胴体間接の隙間からはスラスターが突出し、熱気と光の粒子を吐き出しながら蠢いている。尾はサソリの物がその役を担い、先頭は巨大な目玉が六つ埋め込まれ、ギョロギョロと忙しなく動いていた。
それは明らかに『生きている』列車だった。
「一体…お前らは何なんだ!!?」
現代科学では成しえないオーバーテクノロジーが駆使されている事が解る重機を見せられ、祐一は思わず叫んだ。
「あっ。犯行声明とやらがまだでしたね。忘れてました。
我等は『エリュシオン』
この世界を統治する選ばれし支配者なり!」
腕を高らかに挙げ宣言する。それと同時に重戦列車の長大な尾が振るわれ、列車へと突き刺さった。
ドズンッッッ!!
再び鋭い衝撃が機内を襲い、乗客が悲鳴を上げる。尾でぶち抜かれた列車のドアには見る影はなく、その先端が花の様に開き、中から全身を白いタイツで包んだ奇怪な者達が十数人這い出て来た。その手には近未来的なマシンガンが握られている。それを見た乗客が騒ぎだしたが、全ての銃口を向けられ否応無しに黙らされた。
「はいは〜い、騒がな〜い騒がな〜い。
騒いだ所で助かる見込みなんてないんだから、大人しくした方が賢明だぞ〜」
銃口を向けられ、顔を青くした乗客達を見てか嬉しそうに言う。
「そいつらは『スレイブ』っていってね。僕の助手みたいな者さ〜。
さて!それでは今から適性検査を開始いたします!」
楽しそうに
楽しそうに
怯える子羊達を値踏みする様に
魔術士の男は嗤った。
◆ ◆ ◆
なんということだ。今考えうる中で最も最悪の事態になってしまった。
魔術士の男は懐から、丸いフォルムの拳銃に似た物を出してきた。
「これは無針アンプルっていってね。痛み無く血液を採取する道具さ〜。っという訳で皆さん一列に並んで下ださ〜い」
相変わらずの物言いだが、あの男は首でスレイブとかいう奴らに指示している。
スレイブはマシンガンを突きつけて乗客を並ばせ、前に進ませる。俺も夏子も祐一も例外無く並ばせられた。
「クソ!せめて祐一だけでも逃がしたかったのに!」
「あなた…」
いくら悪態をついても何も変わらないことはわかっている。祐一も悔しそうに俯いたままだった。
乗客は一人ずつ、二人掛かりで両腕を固められて床に組み伏せられ、その首にスレイブがアンプルを押し当てた。
『プシュウ』というガスが抜ける音と一緒に電子音が鳴り、アンプルの小画面に数字が表示される。
それを魔術士に見せると、時には渋い顔、時には嬉しそうなを見せる。
「やっぱり20〜30がほとんどだね。50以上なんてそうそういないしねぇ〜」
何やら難しそうな顔をして呟く。その間にも乗客は次々と検査をされていった。
祐介はそれを見ながらあることに気付く。弾き出された数字が一定以上なら男の後ろへ、以下なら座席に座らされている。
何の理由があるのか?
分からないまま、とうとう祐介に回ってきてしまった。
「さっ、次はあんただよ。」
「その前に聞きたい事があるんだが」
「ん?なに?」
「この検査に何の意味がある?」
決して相手を逆上させる真似はせず穏便に聞く。
今怒らせればそれこそ取り返しが利かない。しかし、答えによっては強行手段に訴えるつもりだ。
「…そ〜だね。
どうせ君達助からないし、教えてあげよ〜かな。
君達はエリュシオンの悲願『世界征服』の礎(いしづえ)となってもらうんだ〜」
自信に満ち溢れた顔で断言する。
祐介はというと一瞬頭の中が真っ白になっていた。
それもそうだろう。いきなり漫画のような事を言われれば。
「ば、馬鹿な事を言うな!!そんな夢物語のようなことが出来るとでもいうのか!?」
「そ〜れが出来るのさ〜」
目を窓に向ける。
目線の先には黒い重戦列車。
それだけで何も言えなくなった。奴らはやろうと思えばいつでも出来るのだ。
子供時代、誰もが一度は見たことのある夢物語を。
「分かったかい?それじゃあ失礼〜」
プシュウ
「ぐぅっ」
「父さん!!」
祐一が駆け寄るが、スレイブに取り押さえられる。
「おお!素晴らしい!73だ!これは期待出来〜る!!」
出た結果に何やら狂喜乱舞していた男は急に祐一と夏子を見て、ニヤリと口端を吊り上げた。
「次は奥さんだ。連れて来〜い」
祐介と同じく、アンプルを押し付けられる。
「母さん!クソ!てめぇら放しやがれ!!」
祐一の抵抗も虚しく、数字が出される。
「69!!
二人続けて高数値なんてますます素晴らしい〜。君達家族は適性値が高いみたいだね。
ではその息子である君はどんな数値を出すのかなぁ〜?」
ゆっくりと暴れる祐一の傍まで歩き、アンプルを押し付ける。祐一はそれでも男を睨み続けた。
プシュウ
血液が痛み無く採取され、測定がはじまる。
「あれ…?」
だが数値はいつになっても止まらず、それどころか止まらなかった。
「あ、あれ?おかしいな?お〜い!このアンプル壊れたんじゃないの〜?」
スレイブは手に取って見てみるが、首を横に振って壊れてないことを示した。
「え?じゃあこれまだ計測中?」
首を縦に振る。
「ちょ、ちょっと待て。冗談だろ〜?それって
750…800…850…900…950…」
とうとうディスプレイの表示が暗転し、計測不能となる。
祐一は何が起きているのか分からなかったが奴らにとって予想外の事態になったことだけは理解出来た。
男はポカンと壊れたアンプルを見ていたが、やがて含み笑いをし始め、遂には
「きゃははははははひははひははひはひははははひはははははははひははははは!!
大きな狂笑を挙げた。
「ひひひひひ!!
まさか、まさかこ〜んな極東の小国で、こ〜んな素晴らしい実験体に出会えるとは!まさに奇跡!!
奇跡だ奇跡だ奇跡だ!奇跡以外の何物でもない!!」
狂ったように笑い続ける男に祐一の先程までの怒りは「怯え」に変わり、やがて「疑問」へと変化していった。
「さっきから聞いてりゃテメェら。『適性値』って何だよ!!そんなもん計って何の意味がある!?」
今だケタケタ笑ってる男は、それを聞いてようやく笑いを抑えた。
「いや〜失敬失敬。
この適性値はね〜僕等の世界に相応しいかどうかの適性値なんだ〜〜♪」
馬鹿げた事を非常に嬉しそうに言ってくる。
「特に君はとても優秀でね〜。機械が測定出来なくなるなんて実に凄〜いことだ。
そんなの世界に片手で数えるほどしかいないんだぞ〜」
祐一の顔ギリギリまで自分のそれを近づけ
「おめでとう〜〜〜」
最大の賛美を送った。
◆ ◆ ◆
祐一は完全に頭にキテいた。
男のホントに嬉しそうな笑顔がゲせなかったのもあるが、男の口にした『奇跡』という言葉が何よりも許せなかった。
あの冬の奇跡を、汚された気がしたから。
「その数値が高いからって何の意味があるんだ!」
何か策を考えて言ったわけではないが、その言葉に初めて男が難しい顔をした。腕を組み、首をもたげ考え込む。
「う〜ん…。
実を言うとこちらもまだ適性値については未解明な所が多いんだ〜。高いからどうかと言われてもね〜。
しいて言えば『生き残る確率』が高くなるってとこかな〜?」
言葉の意味が解らない。
生き残る確率?なんだそれは?
「僕等の世界に相応しい人間は今の人間じゃ駄目なんだ〜。厳正な審査とテストに耐えられた者だけが存在することを許される世界なんだ〜。
でもまだそのテストが上手く出来なくてね〜」
「テスト?それと適性値がどう関係するんだ?」
イマイチよく分からない。
普通は逆だ。
テストをして適性値を出すのが理屈として基本的だが、男達がやろうとしているのは逆の順番だ。
いや、違う。
この男は逆の順番でやると言った。それにさっきの『生き残る確率』という言葉。
適性値
逆の順番
生き残る確率
それらの単語が頭の中で組み立てられ、考えたくもない予想が出来上がった。
「お前、テストってまさか…」
嫌な予感が脊椎を貫き続ける。こんなのは学校の魔物と戦った時すら感じた事は無い。
そんな祐一の顔を見て心中を感じとったのか、男は再び口端を歪ませた。
「へ〜。君、意外と勘がいいね。多分考えてるので合ってるよ」
背後にいる祐介達に体を向け、全員に悪魔の宣告を言い放った。
「喜び給え!
君達には新世界を生きる選ばれし者達への先駆者となって貰〜う。
ま、つまりが人体実験なんだけどね」
その一言に一瞬場が静まり
悲鳴が爆発した。
「ふ、ふざけるな!!人体実験だと!?
そんなことが許されると思っているのか!」
「金ならある!見逃してくれぇ!」
「そんなの嫌あああああああ!!」
「家に帰してくれよおぉお!」
「ママぁ…。」
悲痛な叫びを上げる女
金を使って命乞いをする小肥りの男
何としても助かろうとする男
反対側に移された母親を求める子供
その惨状を男は至福の笑みで見つめていた。
いい。実にいい。
人間共が絶望し取り乱し泣き喚く姿はモナリザすら超える芸術だ。
「ふふふ〜ん。今すっごい良い顔してるよ皆〜。さあ、選ばれた人達は隣の列車に、あっ、『ブルク・ノア』っていうんだけどね〜。
移って貰いま〜す。」
スレイブ達は逃げ出そうとする適性者達を引きずり、尾の中に放りこんでいく。反抗しようというものには容赦無くマシンガンのストックが振るわれた。
祐介も夏子もマシンガンを突き付けられ、ゆっくりと歩きだす。
(このままじゃ俺達どころか祐一まで…)
それだけは避けなけなければならない。
ついさっき言ったばかりじゃないか。『親は子を守るもの』だと。
探す。
祐一を助ける為の手掛かりを探す。ばれないように周りに目を向け、奴らから注意を少しでも引ける物を探し出す。
見つけた!
「お〜い!
この少年は丁重に御連れしなさ〜い。今までにない貴重なサンプルなのだ。粗相が無いよ〜に頼むよ〜」
「イー!」
スレイブが言葉かどうかもわからない音を出し、祐一をブルク・ノアに連れていこうとする。
祐一は束縛から出ようともがくが、スレイブの強い腕力に更に締め上げられる。無理矢理立ち上げられ、尾に向かって進ませる。
そこを
「待てぇ!!」
祐介の怒号が突き崩した。
◆ ◆ ◆
祐介が見つけたのは白いポットだった。
きっと尾が刺さったときの衝撃で転がったのだろう。足で上手く跳ね上げ、手に取るとすかさずスレイブの顎を打ち上げた。スレイブは厚手の鉄で急所を打たれ、そのまま意識を失う。
素人にしては中々良く出来たなと感心しながら男に向かって走り出し、ポットを振り上げて叫ぶ!
「待てぇ!!」
魔術師の男は急な出来事に反応が一瞬遅れ、ポットの餌食にされた。
「逃げろ!祐一!!」
もう一撃、男の頭を容赦無く殴り付け、叫ぶ。
祐介の行動であっけにとられたスレイブを祐一は一気に振り払う。そうしながら父の存在を改めて凄いと実感していた。
「母さん!早く!」
ありえる筈の無い出来事に呆然とする夏子のスレイブを突き飛ばし、手を引いて駆け出そうとしたとき
「あがぁ!!」
祐介の苦悶の声が聞こえた。
振り向くと、祐介の胸を鉄の輪を無数に重ねた形の触手が貫ており、次の獲物を探すかのようにウネウネと踊っていた。
「あなた!!」
「父さん!!」
二人は祐介を助けようとするが、それをあの不快な声が遮った。
「痛いな〜。いきなり殴られるなんて思ってもいなかったさ〜」
俯いたまま変わらない口調で、頭から流れる血を意にかえさずに男は立ち上がった。
その顔を見た夏子はサッと青ざめ、悲鳴を上げた。
半分が人のそれではなくなっていた。
顔面の皮の半分はポットの打撃で崩れ落ち、中から現れたのはカブトムシの様な黒い甲殻に覆われた肌に、煌々と緑に輝く爬虫類の眼球だった。
そして、祐介を貫いている触手は男の後腰から伸びていた。
「な…何だよそりゃあ…」
祐一は自分の声が恐怖で震えてるのを自覚していた。有り得るはずのない現実が身体と精神を蝕んでゆくのが分かる。
「これが『選ばれた者』の素顔さ。と言ってもこの顔好きじゃないんだよな〜」
あまり怒っていないような口調だが、目はゆらゆらと怒りをたゆたえている。
「祐…一。な…つこ。逃げ」
口から血を吐き、服は数時間前の面影が無いほど赤く染まり、それでも二人を逃がす為に声を出そうとする。
だが男はそれすらも許さなかった。
「やってくれたね?適正値高いから勿体ないけど」
半分残った人間のニヤけ顔が一気に鋭いものに変わる。
「死ねや」
バツンッ!!
一瞬だった。
触手が罪人を縛る様に祐介の全身に巻き付くと、それは中央から超高熱を発して赤く染まり、一気に祐介を輪切りにした。
そのせいで肉の切り口が焼け焦げて血が一滴も流れず、元・人のステーキ肉が転がっていった。
「と、とうさん?」
なんだったんだ?
相沢祐介は断末魔すらあげず、一瞬で死んだ。
あっさりすぎる。
余りにもあっさりすぎる。
祐介の異常な死に方は祐一に死の実感すら与えなかった。夏子も何が起きたかまだ理解出来ていないのかポカンとしている。
それでもハッとして今の状況の中で一番いい選択をする。魔物との戦いの経験がこんな所で発揮された。
放心状態と化した夏子の手を引いて駆けだそうとする。それでもあの男…いや、「怪物」は焦りもせずに口を開いた。
「逃げようたってだ〜め。連帯責任として奥さんにも死んでもらうな〜」
ゴボッという音と共に、虫と化した口からカメラレンズに酷似したモノが飛び出し、太陽の光とも取れる黄色の光が収束、開放された。
風鳴りに似た音が溢れ、光が室内を焼いた。
◆ ◆ ◆
感じたのは『熱い』という痛みと焼け焦げた臭い、床に倒れたという感覚。そして右手の母の手の感触だった。
(かあさん!)
自分は何とか大丈夫。気絶していたみたいだが一瞬だけらしい。ただ母の安否が心配だった。
閃光で目をやられたのか景色が霞んで見えないが、きっと倒れているのだろうと引き寄せようとして
「あれ?」
やけに軽かった。例えるならカステラの箱位の重さだろうか?ようやく視力が元に戻ってその理由が解った。
腕しかない。
他の部分は見当たらず、今自分が掴んでいる腕しか母の痕跡が無かった。
「どう?どう?光学兵器<アラド>は?
凄いだろ〜。鉄すら瞬時に熔解出来るんだぞ〜。人間なんて蒸発さ〜」
ケラケラと何が嬉しいのか笑い続ける。だが、祐一にはそんなの聞こえちゃいなかった。
解らない
判らない
分からない
わからない
ワカラナイ
なにがどうなっているのかわからない
父は?
刻まれてステーキになった。
母は?
腕だけを遺して蒸発した。
これで一つ分かった。
両親は死んだ。
殺された。
誰に?
目の前の男に。
視界が赤く染まった。
心の奥底から黒々としたナニカが噴き出し中身を埋め尽くす。
自然と拳に力が入り、爪が肉に食い込み血が滲む。それでも足りないとさらに力を入れたら血が指の間から流れた。
足の筋肉は強張り臨戦体勢となり狙いを男に定めた。
その中で祐一は夏子だった右腕の指から指輪を抜いた。
夏子だったという証は、もうそれ位しか残っていなかった。それを強く握り締め
「オオおおオおォおおおお!!」
怒号と共に殴りかかった。
こいつが
こいつが
こいつが
こいつが
こいつが殺した!!
父さんを!
母さんを!
コロシタ!!
許さない!!!
ありったけの力と憤怒を込めた拳を振るう。しかし男は体を横に傾けるだけで軽く避けていた。
「うるさいなぁ〜。君は殺すわけにいかないから何もしなかったのに〜。えぃ!」
後頭部にハンマーで殴られたような強烈な衝撃が走った。
そのまま勢い良く地面に叩きつけられ、目にバシバシと火花が散る。
ぼやける風景に見たのは先程祐介を輪切りにしたばかりの触手。それが祐一の死角から襲い掛かったのだ。
痛みで意識が眠りにつこうと後退を始めるが、懸命に繋ぎとめる。
それでもぼやけ続ける。
もう駄目かと諦めかけてた時、目の前に転がっているものが目に写った。
輪切りにされた祐介の左手。その指に輝く、夏子と対になる指輪。
充分だった。
遠退く意識を引きずり戻すには充分だった!
夏子と同じ様に、引き抜く。
怒りや悲しみ、その他諸々の「負の感情」が再び脚に力を与えた。
「あアァあああ!!」
勢い良く飛び上がる。
それだけの動作が、不意打ちの「頭突き」という形で男の顎を打ち上げた。
「なんっ!?」
絶対的な優位が慢心を呼んだのかモロにくらった。怪物である男にとって、そんなのはたいした痛みではなかったが、ただの実験体である『人間』やられたということが、「選ばれた人種」のプライドを傷つけた。頭に血が上ると同時に腕の皮が爆ぜ、中から顔と同じ黒い甲殻で覆われた腕が現れる。それで祐一の頭をわしづかみにすると
「こんの…!
人間があああぁぁあぁあぁあぁああ!!!」
それからのことはよく覚えていない。
ただ凄い力でゴミの様に叩き付けられたことは覚えてる。意識が問答無用で歪み闇に落ちていくが、完全に途絶える前、男の会話が聞こえた。
「あちゃ〜。やっちゃったよ〜。まぁ死んでないし大丈夫かな。
ん?何?ガブリエルから連絡?
あ〜い、ウリエルだよ〜。どしたの?
え!!適正値がメーターを振り切ったのが三人も!?こっちも一人確保したんだ〜。なんだか今日は奇跡のオンパレードだな〜〜!」
俺の他に三人も…?
それだけを聞き、俺の意識は今度こそ落ちた。
『ニュースです。
本日、××県行きの新幹線○○が走行中、通過しようとしたトンネルが崩落し、生き埋めとなる事故が起きました。救助に向かった人の話によると、瓦礫の隙間から列車が炎上しているのが確認され、生存者は絶望的とのことです』
◆ ◆ ◆
「…きて!……よ!
ねぇ、……さん。本当に…丈夫なの?」
「分か…い。ただ……は無いか…な…だ」
途切れ途切れの会話に俺は目を覚ました。最初に見た光景は、チカチカと点滅する蛍光灯が薄暗く照らす部屋だった。
「ここ…は?」
俺の声に話し合っていた女性(どうやら二人らしい)が、すぐに気付いてくれた。
「あなた大丈夫!?
ここに運ばれたとき意識なかったから心配したじゃない!!」
いきなりまくしたててきた女性は青い髪をツインテールにした女の子で、年齢は近いと感じた。
「君は今まで気を失っていたんだ。気分はどうだ?これでも医者だから容態のチェック位は出来るぞ」
もうひとりは黒い髪をストレートに伸ばした女性で大人っぽく、年齢も自分より上だと分かる。
「気分は…まあまあです。あの、ここはどこですか?確か俺は里帰りで電車に乗って…」
まだ後頭部がズキズキして記憶が不鮮明な所がある。
とにかく今の自分はコンクリの床に寝かされていた。それに周りには俺達以外の人がちらほらと居る。
「ここはエリュシオンとかいう組織の地下牢だよ。適正値とやらが高いのだけがここに入れられるみたいだね」
「あいつら私達をどうするつもりかしら?お父さんとお母さんもどこ行ったか分からないし」
その言葉で、一気に全ての記憶が戻った。
電車で襲撃を受けた
適正値を計られた
両親が殺された
両親の指輪を握った
床に叩きつけられて気絶した
「指輪を!!俺は指輪を持ってませんでしたか!?二つの指輪を!!!」
俺のいきなりの剣幕に二人は驚いたが、黒髪の女性が着ている白衣のポケットから目的の物を出してくれた。
「これかな?
随分と大事そうにしていたからね。無くさないように預からせて貰ってたよ」
手の中には二つの指輪が乗っていた。俺はそれをひったくるように掴み取る。黒髪の女性はそんな俺の様子に眉をひそめた。
「もしかして、それってあんたの…」
青い髪の女の子が恐る恐る聞いてくるのを、俺は無言で頷き返した。
大小の何の変哲もない銀のペアリングは、父さんと母さんの結婚指輪だった。目を閉じ、それを両手で強く握り締める。
強く
強く
もっと強く
さらに強く
壊れるくらいに強く
思い出すのは沢山の記憶。
二人との17年分の思い出が、浮かんでは消えていく。
『祐一。キャッチボールでもしないか?』
『ねぇ祐一、今日のおかずどう?結構自信作なのよ?』
「ぅ…」
『テスト80点?すごいじゃないか!!父さんなんか取ったことないぞ!?よくがんばったな』
『祐一、買い物行こ?おいしいケーキ屋さん見つけたのよ〜』
「ぅぅう…!」
『祐一、晩酌付き合え。え?未成年?固い事言うなよ。今日は飲みたい日なんだ』
『今の女の子何?彼女?え、違う?つまんな〜い!』
「うぁあ……!」
『祐一、強い男になれよ。身体じゃなくて心を、だ。すぐに強くなれとは言わん。じっくり時間を掛けて強くするんだ。約束だぞ?』
『祐一。あなた女の子泣かすんじゃないわよ?女の子だけじゃなくて、大切な人なら絶対に泣かしちゃ駄目。泣かしていいのは喜ばせた時だけなんだから。お母さんとの約束よ。いいわね?』
「ぁぁああ…!!」
『祐一』
『祐一』
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
叫んだ。
泣き叫んだ。
喉が裂けるまで哭き叫んだ。
今まで気にすらしなかった二人との思い出がこんなに大切で重いなんて…。
親が自分の知らない内に、どれだけ大きな位置に居たかを…!今更になって気付くなんて…!!
なんて馬鹿なんだ!!失ってから気付いてもどうにもならないのに!!!
俺は自分の愚鈍さと、両親を救えなかった無力感に
ひたすら哭くしかなかった。
二人は祐一の泣き叫ぶ姿をただ黙って見ていた。その様子から何があったか予想はついていたが、その時の気持ちは本人にしか理解できない。
下手な慰めは侮辱でしかない。
しばらくして祐一は泣き止んだ。まだ眼が赤かったが、それでも落ち着きを取り戻していた。
「すみません。みっともないとこ見せてしまって」
泣き腫らした顔を見られたくないので、俯いたまま謝罪する。
「いや、構わないさ。それで君の気がすむのなら」
黒髪の女性は慰めるでもなかったが、今はそれが嬉しかった。
横のツインテールの女の子も何も言わなかった。
その時だった。
後ろから祐一の袖を引っ張る者がいた。振り向くと、そこには背の低い女の子がいた。
紫の髪をショートカットにし、大きな緑と白のチェックのリボンを後ろで結んでいた。
なんだか口をパクパクしているが、別に窒息している訳じゃないようだ。
「この子は?」
「その子は声が出ないんだ。先天的な病気みたいでね」
「名前はなんとか分かったわ。
上月 澪。それがその子の名前よ」
澪というのか。澪は心配そうに祐一を見ていた。
「あんたの事気にしてくれてるんじゃないの?」
そうかと思い、澪に大丈夫だと言う。
そこでようやく気付いた。自分は自己紹介すらしていなかった。
「悪い、まだ名前言ってなかったな。
俺は相沢祐一。好きに呼んでくれていい」
「私は霧島 聖だ。
さっきも言ったが医者だよ」
「あたしは七瀬 留美。年はあんたと同じ位かな」
それが三人との出会い。そしてこれから永く続く、地獄の始まりだった。
あとがき
みなさま、初めまして。SS初心者のモリユキです。
このたびは文としてまだまだ幼稚なものを読んで頂き、誠にありがとうございます。
この物語は三人の主人公がそれぞれの敵組織と戦いながら、もう一方の主人公やその知り合いに関わっていくという形式でいこうと思っています。今はカノン、次にエア、ワンの順でローテーションしていき、徐々にキャラを絡ませていきたいと思っています。
カノンのライダーのモチーフはクウガとアギトを混ぜてごった煮にしたもの、エアはほぼファイズと変わらないもの。ワンはブレイドをオリジナルにアレンジしたものです。
この物語はかなり現実的に捉えていこうと思うので、日常が突然終わりを迎えた時の人間の変わりようが酷くなります。時々、ダークな展開になりますが、なにとぞ、お許しください。
どうか、これからも宜しくお願いします。
P.S.
このSSのサブタイトルは、J―POPやアニソンといった歌のタイトルを使おうと思っています。
今回は鈴木亜美の「all night long」を使いました。
Shadow
Moonより
諸事情により、すみませんが感想は後日……
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