「ZZZ・・・・」

祐一は未だに熟睡中

千影と一緒に寝ていたようだが布団は一つ

同じ布団で寝ていたことになる

仲の良いことで

それはともかくとして

祐一はこの睡眠がとても大切なこと

ギリギリまで体力を温存し、試合開始一時間半前に起きて、朝食を食べて、顔洗ったりといつも通りのことを30分こなし、残りの一時間をウォームアップに費やすつもり

朝ごはんを作ってもらう暇が勿体ないので昨日の内に指定した時間にセルフサービスしてもらうよう頼んでおいた

だが、祐一には一つ、残念なことがあった

それは彼らの試合が見れないことだ

祐一にとって大切な存在である少年と少女

一人は付き合いの長さが年齢と同じ、一族の分家に当たる少女

一人は付き合いこそ極最近で短いものだが、運命を感じた少年

二人の試合、見たくないはずがない

布団の中で涙を飲み、諦めるしかないのだ





(だれ)よりも()(だか)(つよ)く、そして・・・


第1章  第20.2話         
全門第3回戦〜所詮は模擬、全ては未来のために〜






「ふっふっふっ、とうとうこの日がやってきたな、和麻」

刀を左手に持ちながら腕を組み、男勝りな笑みを浮かべる乙女

勝気なその態度の中にはバトルマニアの血が騒いでいることも影響している

祐一に似た強者と戦うことに幸せを感じる性質の悪いアレだ

「オ、乙女・・・怖ぇぞ」

和麻の乙女にやられてできたトラウマが蘇る

心の奥底に封印しておいたはずなのに・・・

和麻と乙女の戦績は3戦1勝2敗、もちろん和麻が1勝の方で

その1勝は無手で勝負

最初の1敗は乙女の刀ありで

そして、最後の1敗がトラウマの一戦

「私とお前は1勝1敗の五分、ここで本当の勝者を決めるぞ」

(乙女・・・・)

彼女は最後の一戦を戦績にいれていない

あれを勝負と認識していないのだろう

慢心してしまった和麻との戦いを

今日のこの試合は本当の戦い

力に目覚めてからの、現在の和麻がどれほどのものかを問い問われる試合

(そうだ・・な。俺は・・・もう溺れたりしねぇ)

何のために力を欲し、手に入れたのか

それを思い出した和麻にもう恐れるものは無い

例え、最悪の元凶(神凪厳馬)でも、だ!

「行くぞ、乙女・・・本気の俺、見せてやる」

「来い、返り討ちにしてやる」

氣を纏わせた拳で構えを取る和麻

抜刀の構えで迎え撃とうとする乙女

そして、今・・・・・

「神凪和麻、鉄乙女、準備葉はいいな・・・・・それでは、始め!!」

二人同時に地を蹴った



初手は和麻

歩式(ほしき)
縮地(しゅくち)

志貴には及ばないが祐一の瞬歩≠ノ勝る瞬速移動

当然、乙女のそれを超えているが、かといって、乙女の目に追えないほどではない

かといって、追いつくことは適わない

(なら、迎え撃つまでのこと)

地面に減り込むほど、強烈な震脚で踏み締める

ボコッと横から見たら靴の底が見えなくなるまで地面に入り込んだ

そのまま、急ブレーキ

数十cmほど、土を抉り、急停止

突然の停止、足への負担は軽くない

その痛みを堪え、顔に出さず、構えはそのままを保ち、和麻が射程範囲に入るのを待つ

和麻は乙女の急停止の意味を知りながら、止まらない

乙女の射程範囲ギリギリまで近づき、次に体を少しでも前に動かしたら乙女の刀が抜かれるというところで・・・・・急加速

さらに速度を上げて、乙女の懐に入り込もうと試みる

だが、それよりも速く、和麻の急加速にも惑わされなかった乙女は抜刀

白刃が煌めき、一閃

風を切り裂く愚直なまでの真っ直ぐな斬撃

人の体くらいなら簡単に両断可能

しかし、乙女の抜刀は和麻を捉えられなかった

捉える前に和麻の体が沈みこみ、急制動に捕われた旋毛辺りの髪を少しばかり斬るだけに留まる

刀を抜ききった完全に無防備な乙女が和麻の目の前にいた

(もらった)

そんな確信を得る

体の伸びきったこの状態でどんな反撃ができるというのか

和麻は乙女の上がった顎に掌底を打ち込むべく、右掌を突き上げる

そのとき、ふと乙女と視線が交錯する

彼女の金色の眼は勝気に笑っていた

瞬間、乙女ではなく、和麻の顎に強烈な衝撃が響いた



「あがっ!」

目の前で和麻の顔が跳ね上がった

それを成したのは・・・鞘

横薙ぎの抜刀を繰り出した後に放つ追撃の逆風打ち

一刀式斬術(いっとうしきざんじゅつ)
影燕(かげつばめ)

追撃とは言っても、抜刀が決まれば本来必要のない保険の一撃

だが、自身と同等か、それ以上の使い手には効果がある

実際、私の目の前で和麻がまともに食らっているところを見ると効果は絶大のようだ

もっとも、コレも躱されてしまえば本当に無防備になってしまうが

「悪く思うなよ、和麻」

読みきった私の勝ちだ、と続けて、トドメの追撃

刃を翻し、振り下ろそうとした瞬間

顎に強烈な衝撃が走った




確実な手応えが足の甲に伝わった

抜刀を避けた後、仰け反るほど顎に何かをまともにくらった

あの踏み込みの後に蹴りは考えにくいのでおそらく鞘

と、なると次の追撃には少しだが間が空く

俺ができることは・・・・アレだな

仰け反った勢いを利用して、バック転

足を精一杯伸ばし、お返しとばかりに乙女の顎を狙う

ある格闘ゲームで有名になった派手な技

サマーソルト・キック

本来はバック宙なのだが今回は仕方がない

片手で地面を掴み、跳ね上がるように足を蹴り出す

見事に乙女の顎を捉え、仕返し成功

まだ脳がぐらぐらと揺れていながらよく当たったものだ

歪む世界の中、自身を賞賛し、そのまま、地面に体の前面を叩きつけた




和麻は俯け、乙女は仰向けになって、倒れている

そのまま、ピクリとも動かない

おそらく、ダメージが抜けるのを待っているのだろう

無理もない

互いに人体の急所である顎に直撃をくらったのだ

ダメージからすれば和麻の方が上

先に攻撃を入ったのはダメージ無しの乙女

和麻は脳が揺れながらの攻撃のため、どうしても威力が殺がれる

身体的能力は和麻が上だが・・・・

先に起き上がるのは・・・・・乙女

ダメージが少ないほうが勝った

でも、和麻も一秒と遅れずに立ち上がったのであまり意味はない

まあ、どちらも手の内をほとんど見せずに終わるのはもったいない

戦霊(せんれい)覇者(はしゃ)
鍛腕(たんわん)剛脚(ごうきゃく)錬鎧(れんがい)
()()(まと)わり()くがいい
()(どう)三十一(さんじゅういち) 武魂招(ぶこんしょう)=v

武十星術(ぶとうせいじゅつ)
初式(しょしき)覇鋼(はがね)
鉄人(てつじん)


蒼金のオーラが乙女を包み、淡い金色の氣《金氣》が和麻のから放出され、表面を覆う

乙女は身体能力アップの術式

和麻は上昇度こそ劣るが体の硬質化が追加されている

第2ラウンドの準備は互いに整った



「今度の先手は私だ!」

さっきの俺を上回るスピードで突っ込んできた乙女

そのまま、再び抜刀

確かにさっきのより速いことは速いが見切れないほどではない

それに俺だって、身体能力は上がっている

ただ、追撃の鞘を受けないために一歩、後ろに退いて回避

次にあんなのくらったら本当にヤバイからな

乙女は俺の行動がわかっていたのか、鞘をいつの間にか、腰に差していた

今度は読みそこなった

舌打ちしながら、反撃に出る

だが、乙女の攻撃はまだ続いていた

スナップを利かせて、手首を返し、刃を翻す

速い

基本、抜刀術、所謂居合い抜きは一太刀目で決める

二太刀目いらず、一撃必殺の技だ

だからこそ、一太刀目がかわされると必ず無防備になる

そこをカウンターで狙い打つ

だが、乙女の返しの斬撃は一太刀目には及ばないがそれに迫る速度が出ている

カウンター中断、慌てて、半身になる

それでも刃からはまだ逃げられない

《金氣》を纏わせたビンタで刀身の腹を横から打ち払う

五行の氣には纏うだけでその特性を得ることができる
《火氣》なら攻撃力、《水氣》なら回復力、《風氣》なら敏捷力と言った風に能力が上昇し、そして問題の《金氣》は身体の硬質化

硬氣功≠ニ同じか、それ以上の効果が得られる

だから、遠慮無しに刀に手を出せる

乙女が斬鉄≠使えるのなら無謀なことだが例え、乙女が使い手だとしても防御法さえちゃんとしていれば、問題なく弾ける

翻される刃を弾くとジクンと痛みが掌に走る

「ツゥッ」

掌から少量だが血が垂れた

どうやら、《金氣》ごと斬り裂いたようだ

恐ろしいな、おい

でも、弾いたからな・・・お返しはさせてもらうぞ、乙女

「破ぁッ!!」

半身のまま、すり足で乙女の懐に入り込み、肘を突き下ろす

サマーソルト・キック∴ネ上に有名なあの技裡門頂肘

身長差によって突き下ろしたことでさらに威力が上がる

乙女のがら空きの脇腹に鈍い音を立てて、入る

「あっ・・っはあ・・・・・!」

苦しそうな呻き声を上げて、体をくの字に曲げる乙女

見事に直撃したようで膝がピンと張りながらヨロヨロと後ろへよろめく

口から汚らしく涎が垂れる

やりすぎたか?

そう思った瞬間

万物(ばんぶつ)(ことごと)()(きざ)め!!〔地獄蝶々(じごくちょうちょう)〕!!」


咄嗟に反応できたのは我ながら賞賛に値する

軽身功≠ナ体重を軽くしながら《風氣》を前方に放出

これは防御法というより回避法だ

攻撃範囲からできるだけ、離れるための・・・

どれもいつもの和麻からみれば、技術としてそうとう荒く、本来の効果の半分も発揮できていなかった

和麻はそんなこと、百も承知

焼け石に水程度の効果のみですら期待する

シュガァァーン

悲鳴ごと爆裂に飲み込まれた

視界が白一面に満たされ、衝撃が全身を打ち付ける

発動に数瞬の間があるため、少しは離れられたが五十歩百歩、大して変わらなかった

「っうく・・・がふぅっ」

背中を強く打ち、そのまま地面で擦られた

無茶苦茶、いてぇ・・・・

擦り傷は熱くて痛い

ジクジクと全身に蚯蚓が這うような波のような痛みがくる

気休めだが《水氣》を全身の内部に回す

少し楽になるのを感じて、ようやく、立つことができた

ちっ、思いっきり油断した

風が使えればもっといい回避方法ができたんだが

あえて、使わなかった

「どういうつもりだ、和麻?」

乙女が怒りを秘めた鋭い瞳で俺を睨みつける

その眼光は尖った杭のように鋭く、全身に突き刺さり、恐怖で俺をその場に縛り付ける

やばっ、本気で殺されるかも・・・・

今の台詞が冗談に思えないくらい今の乙女はヤバイ

何で炎の精霊に好かれないんだろうと思えるほど、烈火の如き憤怒

原因は・・・・・多分、俺だ

俺が風の精霊の力を使わないから

手加減している、もしくは女だから、とでも思っているのだろう

そんなつもりじゃないが今の状況で言い訳しても通じねぇな

だが、誤解を解いておかないと、な

「違うぞ」

『誤解だ』の意思を込めて、言う

乙女は一瞬訝しげな顔をしたが、怒りの炎が少し揺らいだだけに過ぎない

「ならば、使え」

「使えないな」

『少なくても、ここでは』、と伝えるがちゃんと伝わっているか怪しい

言葉にしたら、全てが水の泡

呼魂法≠熨シの風術師に盗聴されるから、同じくアウト

できるのは視線による会話だけ

「俺にとって一番大切なのはこの試合じゃない」

『大切なのは俺の力がバレないこと』

力自体はバレても構わない

だが、その経緯やら、力の大きさを知られるとまずい

知られても問題は無いのかもしれないが不安要素は出来るだけ取り除いておく

それに・・・・

「すぅぅぅ・・・はぁっ!」

闘氣を全身から発現

爆発したかのような炸裂音と共に荒々しい衝撃波が周囲を薙ぎ払う

「神凪和麻の全力はまだ見せてないぞ」




乙女は漲り、迸る闘氣に気圧される

(これが和麻の全力・・・)

コレまでの3戦

和麻は一度しか、五行術を使用しなかった

しかも、明日に二人とも試合があったので消費を抑えていた

加えて、和麻は乙女の力を全力に近い力を妹の咲耶戦で見ている

武十星術(ぶとうせいじゅつ)
初式奥儀(しょしきおうぎ)御風(みかぜ)
空帝(くうてい)

纏風≠謔閧煖ュ大な《風氣》が和麻の全身を守護する鎧のように宿る

和麻が上下に浮き沈みするほどに強い浮力が発生している

それがどれだけ強烈な力を放っているのかを認識した乙女は抜刀の構え

「行くぞ」

和麻の姿が消えた

乙女の目にも捉えきれないほどの速さで視界から消失

(速い・・・・どこだ!?)

瞬間、ふわりとうなじに微風を感じた

「後ろ!」

振り向きざまに抜刀

白刃一閃

だが、薙いだ先には誰もおらず

それもそのはず

和麻は乙女のほぼ真上にいたのだから

武十星術(ぶとうせいじゅつ)
攻式(こうしき)御風(みかぜ)
嵐圧(らんあつ)

旋風の如き風の力が乙女の真上から墜風

螺旋の動きを加えた重力の如き風圧で乙女を圧し潰さんとする

だが、大技なだけに隙も大きく、派手だ

音も出るので気付かれるし、気付かれた

「上!はぁぁっ!」

鞘を捨て、刀を両手に持ち替え、渾身の力を持って振り上げる

ガガガガガッ

金属と風による削音が激しく響き渡る

刀身が十数センチほど、風を裂き食い込んだ

だが、そこまで

それ以上はどれだけ力を入れても刃が進まない

その間に嵐圧≠フ反動でずっと浮かんだままの和麻は次の一手

「沈め!!」

武十星術(ぶとうせいじゅつ)
攻式(こうしき)火燐(かりん)
赤輪(せきりん)

《火氣》が具現化し、炎を発現させた和麻

炎は螺旋を描くように蠢き、嵐圧≠フ流れに重なる

螺旋風圧に炎が加わり、紅蓮の竜巻が乙女に圧し掛かる

巨大な鉄槌で打ち付けられたかのような衝撃と圧力が乙女を叩き潰す

「あ・・ぐぅぅぅ・・・」

刀の峰に手を添え、両手で対抗

抵抗は一瞬、拮抗もさせられずに・・・

今度は乙女が悲鳴ごと、紅蓮の竜巻に飲み込まれた

「よし!今度こそ・・・」

浮遊力を弱めながら地面へゆっくりと降りながら小さくガッツポーズ

だが、警戒は怠らない

一発目の始解の二の舞

和麻として、さすがにそれは避けたい

万物(ばんぶつ)(ことごと)()(きざ)め!!〔地獄蝶々(じごくちょうちょう)〕!!」


「って、いきなりか!?」

間髪入れない反撃に動揺しながらも左手を左に突き出し、虚空に掌底

《風氣》を発生させたので体が空中で横に移動

祐一達のように霊子の足場を作れない分、こうして移動するしかない

《風氣》を利用して、空中移動も可能ではあるのだが和麻の力量では数秒のタメを要する

そして、乙女の爆裂歪曲はそのタメを許しはしない

今度は1mほど離れられた

爆裂が起こるが受けた衝撃はさほど大きくない

大きくない衝撃に押されながらも無事に着地を決めた

「化け物かよ・・・お?」

着地した瞬間、ガクンと勢い良く膝が落ちた

糸が切れた人形のように重力に逆らわず、筋肉が弛緩

地面に膝を打ち付けた

痛みよりもその現象に意識が向く和麻

「う・・・あ?」

ここに来て急に力が抜け、疲労が全身に圧し掛かる

地面に倒れそうになるが意識を左足と右腕のみに集中し、倒れることだけは阻止

致命的なまでに隙だらけ

今、狙われれば、確実に直撃する

しかし、和麻の予想に反して、攻撃は来なかった

「乙女・・・?」

砂塵が未だ治まっていない中、人影が見えた

ただ、妙に小さく低い

砂煙が晴れると和麻と同じく膝を地に着け、今にも倒れそうな体を抜き身の刀で支えている乙女の姿

闘志が漲っていた彼女が視線すら下に向けている所から紅蓮竜巻の威力が伺える

ダメージはほぼ五分

あと一撃・・・あと一撃で決着がつく

互いに渾身の力を以って立ち上がる・・・・・ようなことはしない

立ち上がることすら無駄な行為

膝に充分な力を込め、蹴りだすだけで互いの位置まで移動することは出来る

後は二人の攻撃で勝敗が決する

乙女は当然、己の魂でもある〔地獄蝶々〕

防御無効能力を意味する空間爆裂

生半可な攻撃だけでなく、正面突破は完全な攻撃でも無謀だ

(と、なると・・・あれぐらいか)

和麻は攻撃方法を決定したらしく、すぐさま準備に移る

武十星術(ぶとうせいじゅつ)
初式(しょしき)御風(みかぜ)
纏風(まといかぜ)

奥儀を使えないほど、氣は消耗している

コレが最後の力

「行くぜ」
「参る」

呟いた瞬間、ダッシュのために残しておいた最後の一歩で地面を蹴り抜いた

バガッ

地面が砕ける音が響く

幼く消耗しているとはいえ、裏世界に関わる超人レベルの力

伊達ではない

武十星術(ぶとうせいじゅつ)
拳式(けんしき)御風(みかぜ)
疾突(はやづき)

一直線の超高速正拳

和麻は正に矢の如く、周りも何も見ず、ただ一筋の道、乙女のみを見貫く

一球入魂乾坤一擲

この一撃のために全てを捨てた捨て身の一撃

和麻は刀を抜かれる前に超速攻で終わらせる手段と取った

「お、おおおおぉぉぉっ!!」

咆哮し、自らを奮い立たせる

活力が後押しして、迷いを振り切り、突っ込んだ

乙女もそれの応えるように・・・

「悪いが・・・始解する霊力が残っていないんだ」

全力を尽くす!!

一刀式斬術(いっとうしきざんじゅつ)
地雷弾(じらいだん)

鞘構えを表裏逆に抜刀

多少遅いが和麻との接触には間に合う

峰で地面を切りつける

刃の部分ではないので当然、荒々しく土を砕く

砕き切り、刃が地面から抜ける前に停止させ、運動エネルギーを大地に渡す

渾身の力を受けた地面は爆発するように砕け、飛礫が飛び散る

それはまるでショットガンのような激しい炸裂する土の散弾

飛び散った石混じりの土の礫は当然、まっすぐ飛来し・・・

ドドゴゴゴッ

豪速で突っ込んでくる和麻に見事なカウンターとして決まる

「ぁがぁああっ・・・かはぁぁっ・・・・・」

最悪のカウンターに回避どころか、防御すら不可能なタイミング

捨て身の突進だったため、元よりそんな思考なかったが

ほぼ全身に直撃

鈍い音がそこら中に響き、特に大きなのが肋骨辺りで響く

(あ・・・やべ・・・・・)

最後に強烈なのが額に着弾

そのまま、吹き飛ばされるように意識を持っていかれる和麻

「まぁた・・・お、れの・・負けかよ」

せめて、風が使えたらなぁ、と女々しい言い訳を最後に完全に沈黙

「馬鹿・・・・今のお前には・・・負けて・・・いられな・・・・い」

ザグッと地面に刀を刺し、倒れそうになる体を支える

勝者は倒れない

それが、敗者となった相手への礼儀

どこの騎士道だと、言いたくなるがそれが乙女

「私の・・・・勝ちだ!」



続く



Shadow Moonより

諸事情により、すみませんが感想は後日……


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