誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第16.2話 全門第2回戦開始~続く激闘~
「はぁっ!」
「よっ!・・・・疾ッ!」
同じ文字の名の二人が戦い始めて・・・・・・二十分が経過した
長い
今までで最長の長さかもしれない
だが、誰もその闘いから眼をそらすことはなかった
祐一も和麻も紅羽も智代も乙女も・・・・全員が全員
その戦いに魅入っていた
ハイレベルもハイレベル
幼くも一流同士の戦闘
霞むようなハイスピードで繰り広げられる攻撃
志貴が避ければ、織は追撃
式が避ければ、志貴は追撃
志貴は斬り合う様な真似はしない
そんなことをすれば敗北は当然だ
織は必死で志貴を追う
数瞬でも志貴を見失えば終わりだ
互いに決め手を持ちながら決め手に欠ける
二人はまさにそんな感じである
(長期戦は不利だ)
(埒が明かない!)
志貴と織は考える
勝利の一手を
そして、実行
「すぅぅぅぅ・・・・・・・・ッ!」
一度深呼吸してから抜刀の構えから瞬動術を使う織
入りも抜きも完璧だ
だが、それは志貴とて同じ
彼女とほぼ同時に志貴も地面を蹴っていた
織の全速と志貴の全速ではやはり志貴のほうが疾い
だが、志貴は先手を織に譲る
織はそれが罠だとわかっていても先手を取った
〝死閃〟
織の得意とする技〝死閃〟
今までも抜刀術の技巧すら霞む抜刀術
まさに相手に〝死〟を与える〝閃〟きだ
だが、それを放つとき・・・・・・
織の視界に志貴の姿は無かった
「ッ!?」
織はすぐに志貴を見つけ出した
場所はかなり近い
すぐ上に志貴はいた
〝
相手の眼前から一瞬で上空へ舞い、首を刈る暗殺術
上を向いたのは一瞬にも満たない時
志貴と織の視線が交錯する
(やばっ、負ける)
織は自らの敗北を理解した
次に来る一撃を回避はおろか、防御することも敵わない
少なくとも自分では・・・
(織、変わって)
(式?)
〝柳仙〟
「ッ!・・・かわした!?」
志貴が勝利を確信するほどのタイミングで放った一撃は回避された
しかもその回避方法が絶妙に紙一重
まるで風を受け流す柳の如く
「ッ!」
驚いたのは一瞬、すぐにソレを切り捨て、現状を把握する
織?は反撃を放つ様子は無いと判断し、体勢を入れ替え、着地
〝
間髪入れずに疾駆
織?の右背後から回り込むように駆ける
風の如き超高速で接近し、小刀を突き出す
「・・・・」
織?は刀を振るう
それは防御でもカウンターでもなく、無力化の一撃
突き出された小刀の刀身を打ち付けるのではなく、柔らかなる斬撃を以って、いなし、回転を加え、絡め取る
「ッ、こ・・の!」
取られまいと回転と同方向に小刀を回転させ、織?の妙技から抜け出す
(なんだ、織の動きが急に変わった)
志貴は小刀を左の逆手に持ち替え
〝
八連斬撃乱舞
足を止め、ほぼ腕の力のみで放つ連撃
〝円〟
対する織?はその場で駒のように横回転
縦に構えた刀が彼女を守る盾と化し、回転が威力を削ぎ、受け流す
あっさりと自身の技が破られた志貴
だが、浮かべた表情は驚きではなく、疑問
突然、ガラリと変わった戦闘スタイル
さきほどまでのが剛とするなら、今までのは柔
現在までにわかっていることを全て頭の中に思い浮かべ、並べ替えてみる
(式、織、二重人格、二つの精神・・・・もしかして・・・・・)
もし、その予想が正しければ今の状況を説明できる答えが出た
「もしかして・・・・式?」
「ッ・・・・・」
「やっぱり」
そう、彼女は式だ
〝閃鞘・八穿〟の時に入れ替わったのだろう
おそらく、式と織では扱える技の種類が違うらしい
あの決定的な一撃を回避する柔剣
乙女以上の剣才による苛烈な剛剣
だが、使い分けるには、二人が入れ替わらなければ、ならないのが最大のネック
(対応戦法は・・・・わかっているだけで三つ)
1.力押し、相手を遥かに上回り、受け流しなどできないくらいの絶対的な攻撃力を以って撃ち破る戦法
2.相手が反応も出来ないような速度を以って打ち倒す力押し戦法
3.最後に相手を上回る技量を以って、柔剣を解き、競り勝つ戦法
(出来そうなのは・・・2だけ)
筋力においてはほぼ互角、攻撃力は逆に負けている
技量については互角
ならば、答えは一つ
「ごめん、父さん・・・あれ、使います」
志貴は謝りながら構える
小刀を水平にして突きの前動作
その構えは突きを放つことを相手に教えているようなもの
暗殺術を得意手とする志貴・・・ひいては『七夜』からしてみれば、考えられない戦法だ
「構わん、お前の好きにしな」
父である黄理は素っ気無く、淡々と返した
志貴はホッと安心の笑みを浮かべ、集中
「何をするか知らないけど・・・・」
式は刀を正眼に構え
〝流旋華〟
来る攻撃の一撃目を見切り、刀で受け、回転していなし、反撃一閃する奥儀クラスの柔剣
如何なる方向からでも対応できるよう、正眼の状態でいる
唯一のネックは一度構えに入ると動けないこと
「私は破れない」
「破る必要は無いよ」
さらに前傾姿勢になり、戦意と闘志をアップダウン
不規則にすることで攻撃のタイミングを掴ませない
(全ての力を脚部へ、一点集中。静かなる〝閃走・疾風〟と荒々しき〝閃走・迅雷〟を合わせ、昇華させた奥儀)
〝
無音同氣の音速移動
言葉にすればそれだけだが、それが如何にすごいことか、ここにいる全ての者達はわかるだろう
風の精霊術師は特に、だ
彼らでさえ、音速移動どころか、音速攻撃すらもできるものではない
それを生身でやってのけるというのだ
さらに気配を周りに同調させる効果まで上乗せしている
その分、体への負担は相当なものが予想される
体が出来ていない少年なら尚更の事
しかし、そのデメリットを持ってしても上回るほどのアーツ
動体視力がズバ抜けて高い黄理の眼にすら、影が映るだけだ
「・・・・・・えッ?」
勝負は一瞬にして終局を迎えた
正眼に構えた刀が織り成す〝流旋華〟を突破
否、志貴が突破したのは技ではなく、式自身
噛み砕いて言えば、式の感知と反応速度を上回った、ただ、それだけのこと
その首筋に〔七ツ夜〕の刃が添えられている
「俺の勝ちだね」
小刀を添えている手が少し震えている
正確には足の震えが伝染しているが正しい
アレだけのスピードを実現した代償
少なくは無かったようだ
だが・・・・
「私の負けね」
この勝利に比べれば安いものだ
「うっは、すげぇっ!!」
祐一は思わず、叫んだ
苛烈な斬り合いから始まり、巧みな柔剣を操る式
柔剣に変わったときに妙な違和感を覚えたが彼女の強さに釘付けだったので気に留めなかった
だが、何より魅了されたのは最後の志貴の技
圧倒的なスピード、その一点を追及したものを体現した
不完全な人の身でありながら・・・・
「影すら踏ませなかったぞ・・・なんてスピードだよ」
「しかも、負担もアレだけで済んでいる。本来なら骨が折れてもおかしくないはずなのだが」
誰もが彼らを賞賛していた
それくらい二人の試合はすごかった
パチパチパチ
誰かが拍手を始めた
それを機に拍手の数がどんどん増えていく
数秒後にはほとんどの人から拍手を受けていた
ちなみにしなかったのは神凪くらいなものだ
天低門
白銀武VS七夜香奈美
斉藤徹VS浦島可奈子
狭地門
両義式VS七夜志貴
式森和樹VS乙姫むつみ
浅海門
神凪和麻VS石蕗真由美
鉄乙女VS神凪咲耶
小人門
神凪綾乃VS神咲薫
美坂香里VS坂上智代
続く
Shadow Moonより
諸事情により、すみませんが感想は後日……
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