※今更だが、このお話はフィクションです(特に意味は無い、変に深推しないように)
子供部門は全て、終了し、天門、地門、海門、人門が開始
大半は消化し、順当に勝ち上がる者達
影行と闘夜はもちろん、黄理や厳馬も勝ち残っている
「
斬岩剣=v
青山鶴子も、今、相手、岩山剛治を薙ぎ払い、二回戦進出を決めた
当然ながら石蕗巌も勝ち上がっている
そして、我らが相沢祐一は・・・・・・・
現在、苦境に立たされている
誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第14.4話 全門一回戦〜苦しき初戦〜
人門最終試合
長袖の〔斬覇装〕、腰に小太刀二刀を装備した相沢祐一
彼の初戦だ
初戦ながら最終試合とはこれ如何に?
などと、冗談を言えるほどの余裕は彼には無かった
原因は初戦の相手
「相沢祐一君だよね。俺は浦島景太郎、今日はよろしく」
ジャケットにスウェット、硬そうなブーツ
近代化の戦闘服に身を包み、斬ると突く、両方に特化した
若手2、『浦島』の次期当主、浦島景太郎
一応1は祐一だが、あくまでそれは他人からの評価
しかも、中級妖魔を倒してからの評価だ
景太郎も中級妖魔こそ、倒したことがあるという噂は聞かないが倒せるのかもしれない
何より、祐一は感じていた
目の前の相手は強いということを
「ああ、全力で、な」
敬語なんて、使ってられなかった
祐一は今から始まるバトルに動悸が止まらない
すでに心も体もウォームアップしなくてもいいぐらいにヒートアップ
「・・・・・」
景太郎は無言で斧槍を構える
それに応えて祐一も二刀に手を掛ける
静か過ぎる沈黙が辺りを包み込む
誰もが言葉を発せなかった
そして、誰もが望んでいた
戦いの始まりを!!
「始め!」
雅人が開始の号令を叫ぶ
同時に急速反転、ダッシュ
そうしないと戦いの余波が降りかかってしまうのだ
かなり格好悪いが巻き込まれるよりマシ
何せ、相手次第では余波だけで死んでしまうレベルのものがある
まあ、彼のことは捨て置いて・・・・
祐一と景太郎に視点を移そう
「疾ッ!」
先に動いたのは祐一
先の先を取るべく、少ない動作で疾駆
最高速度とは言えないがそれなりのスピードで景太郎へ突っ込む
しかし、先制攻撃は景太郎のもの
所詮は小太刀、斧槍・・・射程が違う
カウンターとして、斧槍の穂先と祐一の眉間が磁石のように引き合う
祐一は右の小太刀を抜き振り、穂先の側面を打つ
穿撃の軌道がズレる
それでも、まだ祐一の顔を捉えているので彼自身が顔を動かし、完全に突きの攻撃範囲から逃れる
小太刀を穂先の付け根の角にひっかけ、回転しながら景太郎の左側面に移動しながら、斬撃を放つ
ガギッ
景太郎は斧槍を強引に引き戻しながら、石突を上げ、穂先を下げて、斬撃を防御
受け止めたと同時に今度は石突と穂先の高さを逆転
地面スレスレの位置にあった穂先が跳ね上がる
祐一は状態を逸らし、頬を軽く掠らせるだけに留める
「
その言葉を残して、体を捻り、穂先に剣撃を加え、その反発力を利用して、間合いを取る
景太郎は吹き飛ばされながらも彼の言葉に思考を取られた
「
天道を穢し 悪に堕ちろ」
後退しながら、詠唱を続ける
景太郎はようやく、最初の言葉の意味を知る
急いで破道≠フ阻止を図る
疾駆
超高速で地面を移動し、頭上で斧槍を回転させながら祐一の下へ駆ける
「
詠唱の終わりと同時に景太郎は技に移る最後の一歩を踏みしめる
「秘技 雷斧衝=v
《雷氣》を纏わせた回転の遠心力を加えた強力な斬撃
上段よりハンマーの如く、振り下ろされる
「
内部で強烈な爆発を繰り返す黒い霊珠弾
これの直撃を受けた場合、連続爆発の爆熱と衝撃で外部と内部が完全にやられる
斬撃と爆珠は激突
強烈な爆発が起こり、爆風で紫電が辺りに撒き散らされる
超至近距離で起こったので二人に躱す術はなく、まともに巻き込まれた
「くっ・・・」
「あちちちちっ」
互いに軽い火傷を負っている
戦闘に支障が出るほどではない
あの余波だけでも常人なら死にはしなくとも、重傷を負うほどの威力はあったはずだ
祐一は光守≠ナ、景太郎は《水氣》を纏い、防御していたのでそれだけで済んだ
(この人、強い・・・・ここは一気に攻め込むが上策!!)
一瞬早く、立ち直った祐一
二刀を構え直し
「攻め貫く!」
瞬歩
瞬速移動で景太郎に接近し
「おらぁぁっ!!」
斬撃に次ぐ斬撃
嵐の如き連撃を浴びせる
波状攻撃の名に相応しいもの
上下左右、斜奥と縦横無尽
斬撃の軌跡を全て重ねれば蟻一匹、通る隙間も無いだろう
「斬斬斬・・・ザンザンザンざんざんザン斬斬ッ!!!」
攻撃の回数を重ねれば、重ねるほど、剣圧と剣速があがっていく
「ッ!ッ、ッッッ!!なんて、猛攻だ・・・・」
景太郎は斧槍を回転させ、巧みに操り、猛攻を何とか凌ぐ
とは、いっても完全に防げてはいない
腕や足、頬に無数の切り傷を負っている
(だけど、この猛攻だ・・・そう、長くは続かない)
景太郎の読みは正しく、数分もした後、連撃の勢力はドンドン衰えていく
(ちきしょうっ、斬り崩せない・・・)
何度も何度も小太刀を振るっているのに未だ直撃は無し
知らない内に焦りが生まれ、剣先を鈍らす
だが、その間、景太郎もただでは済まなかった
苛烈極まりない猛攻を防ぎきれず、相当ボロボロだ
直撃が無くても、この状態はまずい
しかし、それ以上に祐一の疲労が酷い
(くっ、もう体力が・・・・あっ)
膝がガクンと落ちた
斬撃の軌道も逸れ、空を切る
「今だっ!」
コレまでのお返しとばかりに突きを繰り出す
それは驟雨の如く、突き注ぐ
「くそったれっ!!」
攻守が逆転し、今度は祐一が景太郎の攻撃を防ぐ
体格で劣る祐一は受け止めるのではなく、弾く
斧槍を横から引っ叩き、最低限の動きで回避する
技術としても技量としても完全回避に次ぐ最高の受け方なのだが
「はぁはぁ・・・ぢっ!」
いかんせん、ソレをこなすだけの体力はわずかしか残っておらず
「はぁっ!」
「ぐぎぃっ!」
とうとう、景太郎の一閃が祐一の肩を捉えた
「終わりだ!」
強引に抜かれる斧槍を半回転させ、打ち上げるように石突で突き飛ばす
「がはっ!」
ぶっ飛ぶ祐一
(ちっくしょ・・・う・・・)
吹き飛ばされながら、悪態をつく祐一
薄れ行く意識の中、二人の人物が見えた
不安に染められ、涙を流した紅羽
そして・・・・・
その岩のような表情に刻んだ嘲笑
石蕗巌の顔
彼の嘲笑を見た瞬間
(何・・・笑って・・・・・・・・やがんだ!!)
ズザァッ
地を足に付け、踏ん張る
ヨロつく体を気力だけで持ち堪えさせる
「嘘だろ・・・・」
景太郎は倒れない祐一に対して驚愕を露にする
完全に倒したと思った
あそこから立ち上がるなんて・・・・
「悪いな・・・・浦島景太郎」
俯いていた顔を上げる
ボロボロに傷ついていても瞳に宿る闘志の光は失われない
「俺はまだ・・・負けられないんだ」
景太郎は二歩、後ずさる
圧された
祐一の全身から放たれたプレッシャー
(なんて、威圧感・・・ばあちゃん並だぞ)
浦島歴代最強の現当主にほぼ毎日訓練をつけてもらっている
だからこそ、わかる相手の力
「行くぞ」
瞬歩
再び、瞬速移動で景太郎に接近
(ここまでは一緒・・・どうでる?)
防御の構えに入る景太郎
「せいっ!」
斬撃に繋がる連撃
まったく同じ攻撃
(なめているのか?)
「なめちゃいないさ」
「!?」
心の中を読み透かされたような台詞に動揺を隠せない
そして、その間にも時は進んでいた
「
右手に持っていた小太刀をスナップだけで投擲
それは狙い違わず突き刺さった・・・・地面に
正確には景太郎の足の影部分を、だ
相手の影を何かで突き刺すことで金縛り状態にする縛道の二影縫
その変形で刺さった部分しか、縛ることはできないがその分、効果が強く、消費も少ない
「し、しまっ・・・」
「くらえ!!」
奥義之伍
花菱
片手による連続斬撃
足を止め、片腕のリミッターと関節を外した危険な技
関節を外した分、攻撃範囲も広くなり、相手との体格差が極端に広くない限り、旋毛から足の爪の先まで大半のところに攻撃できる上に、腕が撓る事で威力も増大
景太郎は斧槍を捨てる
この至近距離では斧槍は無用の長物
「奥儀 鉄腕=v
両腕を《金氣》で鋼鉄の硬度を持たせる技
並大抵の斬撃では傷一つ付けられない
ガギッ ガガガガッ
ギギャンッ
いつもの祐一のそれなら鉄腕≠フ防御力も突破できただろうが現状の祐一では不可能
斬撃をその腕を以って防ぐ
「おおおおぉぉっ!!」
「はぁぁっ!!」
斬る切る斬る
防ぐ防ぐ防ぐ
一秒十秒一分十分一時間十時間・・・
もはや時間の感覚が狂ってしまうほどの状態で攻防を続けている
「ぐあっ!!」
祐一の手から小太刀が零れる
もはや左腕が言うことが利かないのか、半握りの状態でプルプルと痙攣している
長袖なので見えないが何箇所か内出血して青褪めている筈だ
「今度こそ!!」
「秘技 鋼拳=v
《金氣》が纏わっている文字通りの鉄拳
直撃すれば、陥没しそうな威力
たとえ動けなくともこの至近距離
当たらないはずがない
そして、コレで試合終了・・・・
祐一の瞳の闘志が未だに輝いていなければ!
「ッ・・・まだまだぁぁっ!!!」
零した小太刀を右手で掴み取る
偶然か必然か、小太刀を掴むのに体勢を下げたことが幸いし、鉄拳を回避できた
奥義之伍
花菱
峰で打ち込む
足は動けず、拳を振り切ってもおらず、回避のしようも無い景太郎の胸に全撃、着打
ダダガダダダガガガッ
ショットガンのような連続する打撃音
ゴギッ
バギャ
鈍い骨が折れた音が響く
「かぁっ・・・は!」
血を吐き、後ろに倒れそうになる景太郎
壱縫≠フせいで上半身だけ倒れるという器用な形で止まってしまったがすぐに地面へ背中を打ち下ろした
術式の維持ができないほど、祐一はもう限界を迎えていたからだ
だが、彼は倒れそうになるのをふらふらの足取りで防ぎながら立っている
「し、勝者!!相沢祐一!!!!」
確定された勝利の宣言を聞いても・・・・・
続く
Shadow
Moonより
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