誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第14.3話 全門第1回戦~浅海門、小人門~
「和麻の試合だな」
と、祐一
その表情には笑顔が刻まれている
友の戦い、それも力を得たばかりの術者の戦い
楽しみじゃないわけが無かった
「ああ、楽しみだね」
「そうですね」
「なんだ、こっちに来たのか、志貴、和樹」
祐一が顔だけ後ろを振り返ると志貴と和樹がいた
志貴は別段疲れた様子はないが和樹は若干疲れの色を見せる
「二人とも一回戦通過おめでとう」
「ありがとう、どうだった?」
賛辞を素直に受け取り、評価を求める志貴
和樹も同意見のようで、期待と不安の瞳で祐一を見つめる
「志貴は遊ばなさ過ぎだ、評価しにくい。和樹は・・・少し遊びすぎだな。試合だったからいいが実戦ではするなよ。相手はそんな強くない相手なのに張り切りすぎだ」
「う・・・善処するよ」
「厳しいです・・・・」
辛めの評価を受けて反省する二人
見かねた乙女がフォローに回る
「言い過ぎだぞ、祐一。二人とも、素晴らしい動きだったと思う」
「だよな~。志貴の動きなんて、俺から見ても霞んでたし」
「和樹も攻撃を全て受け止めていた。大剣でよくやれるものだ」
武、智代も加わる
「なんだよ・・・・俺だけ、悪者か扱いかよ・・・」
拗ねる祐一
本人としては正当な評価を下しただけに納得いかないようだ
「ははっ、あ、ほら!和麻さんの試合が始まりますよ」
「落ち着け・・・らしくねぇぞ、俺」
和麻は精神を落ち着けるためにブツブツと自身の心に話しかける
自身でも呟いたようにらしくない彼
炎の巨人という化け物と対峙しておきながら、この程度で心乱すなど、普通は逆だ
それに、実戦(と言ってもいいのかはしらないが)も経験済みのはず
唯一違う所は、観客
道場で修練していたときは月に一度、試合形式で行われていた
だが、彼が感じていた視線は全て蔑み
今、感じている視線は期待、観察、不安が込められたもの
彼にとって初めて受けるもの
それが彼、和麻の心を縛り、身体を鈍くする
「でっ!」
突然、後頭部に衝撃が走った
痛む旋毛の下辺りを頭で押さえながら、衝撃の原因はわかっていた
衝撃の指弾
風の精霊に聞けば、すぐに判明した
そして、その発生源もわかっていた
「・・・・・・」
発生源の方向を睨む
『相沢』の観客席、自分と同年代に囲まれた中の一人、相沢祐一
『何、しやがる!?』
「黙れ、ヘタレ。観客に呑まれるなんぞ、戦い以前の問題だ」
和麻の心の内を見透かしたような台詞
ズバリと図星で的中なので言い返せない
『うっせぇ、誰がヘタレだ!!それに、俺はビビッてねぇ!』
「なら、喚くな、萎えるな、震えるな、鈍るな」
言葉の圧によって沈黙させられる和麻
同時にその心と体に火が灯る
「前を向け、心を震わせろ、拳を握れ、風に身を委ねろ・・・あんたにはそれができるはずだ」
『・・・・・・うるせぇよ、阿呆』
もう、言葉は必要なかった
和麻は自らの意志で歩み、相手と対峙する
「それでは神凪和麻と白井功明の試合を始める!」
和麻は相手を観察する
白井は神鳴流剣士に属してはいるがその戦法は寧ろ、補助型の符術師
両手の指に数枚の符を挟んでいる
「それでは・・・・始め!!」
「来う来たれ、〝機鬼〟〝械鬼〟」
開始の合図と同時に二枚の符を手前に飛ばす
符は白煙を巻き上げる
煙が消えるとそこには機械で出来た人型守護鬼
「行け!」
なんと、2鬼とも和麻に向かっていった
最低でも1鬼は自分の守護に付かせるのが定石
「・・・面白ぇ」
どういう戦法なのか、見てみたくなった
とりあえず、その戦法最大の欠点を突く
〝縮地〟
瞬速移動で鬼二匹の間をあっさりと通過する
(・・・・・は?)
「うぉっ、来んな!!」
白井は慌てて、符をばら撒く
撒かれた符は爆発して、牽制となり、和麻は足止めざるを得ない
その間に後ろから2鬼が戻ってきた
機鬼は右腕を突き出した
すると、肘部分から右前腕部が分離し、火を噴き、和麻に向かって飛ぶ
「ロケット・パンチ!?」
確かに守護鬼とはいえ、機械なのだから、ベタと言えばベタだが・・・
ここまで来ると誰が思う
飛来する前腕をしゃがんで回避
追尾機能は無い様でまっすぐ和麻の頭の上を飛んでいった
「いけぇ、械鬼!ウィングカットだ!!」
今度はいつの間にか、空を飛んでいた械鬼が背中の翼を広げながら地面と並行するように和麻に向かっていた
(マジ○ガー○か、お前は!!)
ちょうどしゃがんだ状態だった和麻は曲げた膝を開放するだけでよかった
そのまま、跳び上がり、宙返りで械鬼をかわす
「もらったぁ、機鬼!」
空中で身動きが取れない和麻に機鬼が空を飛んで迫る
風術や五行戦術を使えないと空の上では移動できない
そう考えた白井は勝利を確信
両腕を突き出しながら、特攻を駆ける機鬼
「・・・・おっし!」
機鬼と接触するまでに良い戦法を思いついたらしく、この不利な状況にも関わらず、笑みを浮かべる
体勢を強引に入れ替え、両拳に向かって蹴りを放つ
ただし、ただの蹴りじゃない
機鬼の両拳との激突と同時に膝を曲げ、いなす
完全に威力をいなしたら、もう一度解放
両拳を支点とし、蹴り押す
再び、宙を舞い、白井の下へ降りていく
「しっ!」
体を縦回転させながら、回し踵落とし
「ぐヴぉぁあ!!」
白井の脳天を直撃し、意識を強制的に刈り取る
顎を地面に強く打ちつけられ、起きられてもすぐには立てないだろう
もっとも、最初の一撃で気絶した彼にはどっちでも一緒だろうが
「そこまで!勝者、神凪和麻!!」
「おっし!!」
「おっしゃ!」
拳と掌を打ち合わせる武
パァンと小気味良い音が鳴る
「勝ちましたよ、和麻さん!」
和樹が明るい笑顔で叫ぶ
まるで自分のことのように嬉しそうだ
「激励が効いたんじゃないかな?」
横目で祐一を見やる志貴
「さぁてね」
その問いかけに曖昧に返す
だが、ポーカーフェイスができておらず、嬉しそうな表情が隠しきれていない
それに気付いた志貴は苦笑する
「・・・・なんだよ?」
「なんでもないよ」
ジロリと睨みつけられても、怖くないのか、飄々な様子の志貴
軽い舌打ちを鳴らし、舞台の方へ視線をやる
すでに次の試合は始まっている
以下省略(決して面倒くさい訳ではない。ただ、あまりに書きすぎると戦闘技法ネタがなくなるとかでもない)
子供部門、全ての試合が終了した
まあ、大体順当な勝利者だ
浅海門
神凪和麻VS白井功明
水瀬名雪VS石蕗真由美
杜崎沙弓VS鉄乙女
神凪咲耶
小人門
神凪綾乃VS羽鳥宗弥
七夜春歌VS神咲薫
美坂香里VS浦島衛
坂上智代VS岩山勇士
で、気になる二回戦の組み合わせは・・・
天低門
白銀武VS七夜香奈美
斉藤徹VS浦島可奈子
狭地門
両義式VS七夜志貴
式森和樹VS乙姫むつみ
浅海門
神凪和麻VS石蕗真由美
鉄乙女VS神凪咲耶
小人門
神凪綾乃VS神咲薫
美坂香里VS坂上智代
続く
Shadow Moonより
諸事情により、すみませんが感想は後日……
高さ自由様へのメールはこちらへ。
戻る 掲示板