誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第14.2話 全門第1回戦~狭地門~
「そこ!」
葉弓が構えた弓から矢が放たれる
三連射
達人とならば、弾丸を超えるほどで放てるが彼女ではそこまではいかない
それでも充分すぎるほど速いので問題は無い
「ふん」
鼻を鳴らして、手に持った刀で迫り来る三本の矢を切り落とす相手
その動きは鋭く滑らかで、その一連の動きは一流の達人のそれ
それを成すのは一人の少女
人形のような端整な顔つき、感情の無いような、全てに関心が無い瞳
ソレが彼女・・・両義式
地を蹴って疾走
次弾が射られる前に決着をつける気だ
「させません!」
疾駆する式の手前に矢を射る
式は次の一歩でバックステップ
慣性などまるで無視した動作
紙一重で矢を回避
その隙に葉弓は精神集中
そして、自らの力を発現する
「〝神気発勝〟」
葉弓の体から霊力が解放され、纏うように淡い光が彼女を包み込む
その霊圧は、祐一はおろか、今日の面子の中では一番霊圧の低い武よりもさらに低い
「〝真威・楓尖矢〟」
霊力を纏った矢が一閃
パワー、スピード、先ほどまでとは段違いで、銃弾並の速度は出ているだろう
さっきまでの簡単に切り払える一撃ではないことを悟った式
即座に回避行動に移る
(矢は直線軌道)
体を半身にして紙一重で躱す
胸の横を通り過ぎる矢
すると、突然着物の胸部分が裂けた
まだ幼くも可愛らしい胸が顕になる・・・・なんてことはない
下に来ていたさらしが見えただけ
「乙女、智代、放せ!!見えんだろ!!」
「うるさい、見るな!」「後で私の見せてやるから」
「・・・・✞」
↑祐一、乙女、智代、最後が武の順
「伊達に霊力を付加させてはいません」
葉弓は誇らしげに語る
「そうかよ・・・」
刀を構えなおす式
口調がなぜか男のソレのよう
再び、矢を番え
「〝真威・楓尖矢〟」
霊矢を放つ
今度は三条
再び、式に向かって空をまっすぐ飛ぶ
「何度もくらうか」
〝
地にべったり張り付くように這いながら突き進む
その速度、〝瞬歩〟にも劣らない
3本の〝真威・楓尖矢〟の下を駆け潜る
「!させません!」
霊力を集中させる時間がなかった葉弓は通常の矢を放って足止めを図る
だが、通常の矢ではダメなのだ
「そんなもの」
一刀を以って、斬り落とす
そして、葉弓が次の矢を番える間に式は彼女の首に刀の切っ先を突きつけた
「終わりだな」
「強い」
祐一はきっぱりと断言した
かなり珍しいことだ
それほど、両義式の実力が抜きん出ているという事だろう
「剣技なら私よりも上だな」
「速度も私より上か」
乙女と智代
彼女達が言うのなら、世辞ではなく事実
二人にとって、それはショックなことではなく、どんな戦いが出来るか楽しみといった所だろう
「次は志貴の番だが・・・・相手が相手だ。あまり、良い試合にならないだろうな?」
七夜志貴と灰谷真之の試合
祐一の予想通り、すぐに終了した(描写も出来ないほどに
内容は至極単純
灰谷が攻撃を仕掛ける前に背後に移動して首筋をトンッと手刀で意識を刈る
まさに早業
「試合、始め!!」
審判の声で試合が始まる
先に動いたのは素子
自分の体に合った大太刀・・・というより、刀を抜いて和樹に斬りかかる
和樹は様子見をするようだ
氣を込めた一撃が和樹に迫る
和樹はバックステップで回避
白刃は和樹に課することなく虚空を斬る
だが、すぐに刃を斬り返し
ただの斬り返しではない
氣を刀に纏わせ、飛ぶ斬撃と成す
「
〝斬空閃〟」
《木氣》に含まれる《風氣》の刃が和樹に向かって飛来
和樹は慌てずに対処
すかさず自らの愛剣を呼び出す
「来い 〔アルテマウェポン〕
腕輪が紫の大剣へと変化する
すぐさま、切り払い
風の刃を易々とかき消した
「〝斬空閃〟をあない簡単に・・・でも、勝負はまだおわっとりません!」
素子は和樹に再度接近
袈裟懸け、斬り返し、薙ぎ、逆風
連続四連攻撃
だが、和樹はその全てを受け止めて見せた
「くっ、なら・・・」
素子は刀に《木氣》を溜めて
「
〝斬岩剣〟」
岩を安々と斬り裂く斬撃
だがあいにくと〔アルテマウェポン〕はただの剣ではない
和樹の強大な魔力で造られた魔導剣なのだ
ガキィッン
しっかりと真っ向から受け止めた
「!傷一つ、付かないなんて・・・・」
素子は驚いて、口に出す
だが、そんなことをいっている暇はない
和樹が攻撃に回ったのだから
「はぁっ!」
典型的な西洋剣より少し大きめの剣
斬るよりも断つ、それを越え、叩き折るに特化した剣
普通の刀でやり合えば、刀は叩き折られるが素子は避けられずに受け止める
とは、いえ・・・
「くっ、つぅっ!!」
重い衝撃に耐える
今の和樹の斬撃の威力だけなら確実に祐一を上回っている
「せあっ!」
力強く、それでいて洗練された薙ぎ一閃
刀でなんとか防ぎ受け流すが衝撃は確実に残る一撃
間合いを広げるため、離れ際の苦し紛れに
「
〝拡散・斬光閃〟」
広範囲に氣の刃が飛び交う
コントロールはしていないらしくかなり無差別だ
「ちょっと面倒・・・・かな!」
剣をバットのように振り払う
大剣の広い腹が氣刃を全て消し払った
「そんな・・・・」
あっさりとかき消されたのがショックだったらしい素子
もはや勝率は絶望的なものだろう
「降参しますか?」
「ッ・・・・ま、まだや!」
(次の一撃に全てを込めて・・・・絶対倒すんや!)
おそらく、残る全ての氣を《火氣》に変えて、刀に集約させいるだろう素子
《火氣》自体はあまり得意ではないが魔導剣とはいえ、金属
なら、これが一番効くはずだと素子は賭けた
和樹も彼女の意を汲み、〔アルテマウェポン〕に紫銀のオーラを纏わせる
普通にぶつかれば和樹が勝利するだろうが彼女は幼くても名高い神鳴流退魔師
さらに全力の一撃
和樹も相応の一撃で対応する
「
〝斬鉄剣〟」
「
〝アルヴァンスラスト〟」
鉄を斬り裂く全力の〝斬鉄剣〟と紫銀の斬撃がぶつかり合い
ガシャァァッーーンッ
ガラスが割れたような音と共に銀の破片が空に舞い上がる
二人の手を見ると・・・・・・刀身をほとんど失くした刀を持つ素子と傷一つない〔アルテマウェポン〕を持つ和樹の姿だった
「勝者、式森和樹!」
勝負あった
「和樹さんは強いんやなぁ・・・」
斬撃の余波があったのか、ダメージが体に残っているらしい
ちょっとよろよろ気味だ
氣の全力開放ということもあるが
「素子ちゃんも強かったよ」
「ありがとうな、ほな・・・」
二人は自分達の場所へと戻っていった
乙姫むつみと斉藤風華の試合も程なく終了
狭地門
神咲葉弓VS両義式
七夜志貴VS灰谷真之
式森和樹VS青山素子
乙姫むつみVS斉藤風華
続く
Shadow Moonより
諸事情により、すみませんが感想は後日……
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