誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第14.1話 全門第1回戦〜天低門〜
「はぁっ!」
先手は岩山正幹
地面に手をつけ、地の精霊に呼びかける
させじと刀に手を掛けながら武は地を駆け、正幹に迫る
だが、一歩遅く、土の棘が武の進行方向から飛び出してきた
鋭く、硬い棘はカウンターの如く、武を待ち受ける
「うおぉっ!」
武は膝を曲げ、背中が地面と接触するほど、体勢を後ろに崩す
踵で地面を抉りながら、急ブレーキ
格好だけでいうなら、テニ○の王○様の越前リョー○のドラ○ブBのスライディングに近い
「よっ」
完全に運動エネルギーがゼロになると、間を置かずにバック転、連続
進軍する棘槍を追いつかせない
だが、正幹は最初で全てを出し切るかのように力を注いでいる
武はその様子を見ると・・・
(真っ向からぶっとばす!)
詠唱を始めた
「
吹き抜けて廻り環る強欲なるゼヒロス
削り抉る道の未来
破道の二十五 螺穿=v
両掌を押し出すように最後の一言を言い切る
小規模な竜巻の如き螺旋風が生み出される
唸りを上げて、蛇のように蛇行しながらも棘槍の小波
拮抗するまでもなく、螺旋風は土棘を砕き、突き進む
その先にいるのはもちろん正幹
「おおおおぉぉっ!!!」
正幹は雄叫びを上げながら、再び力を注ぎ込む
今度は巨大な岩壁
如何なる攻撃をも阻むという意志が込められた岩石の防壁
激突する風と岩
削り取られる岩壁
だが、自然と螺旋風の勢力も徐々に弱まってきている
どちらが先に費えるか・・・
我慢の勝負となった
それから10秒も経たずにっその勝負の決着が訪れる
根負けしたのは螺旋風
発動当初の勢いはすっかり失せ、微風程度にまで成り下がった
「お返しだ!!」
正幹は耐えてきた分を合わせて返すかのように反撃
壁と使っていた岩と地面の土を使って、岩槍の飛軍という大技を放とうとした
だが・・・・・
「誰にすんだ?」
声は正幹のちょうど真上から聞こえた
同時に後頭部に衝撃が走り、正幹はあっけなく気絶
何をされたかというと・・・・まず、武の螺穿♀笊ヌを突破できなかったのではなく、しなかったのだ
ただの消耗戦になると考えた武は螺穿≠解き、そのまま、暴風によって舞い上がった砂塵を利用して、正幹の真上にまで跳躍
ジャンピングアクロバティックソバットを後頭部にぶち込んだのだ
正幹は地面に倒れこみ、ピクリとも動かず
その瞬間、武の勝利が決定した
天低門
岩山正幹VS白銀武
「あいっ変わらず、無駄の多い野郎だ!!」
振り下ろしのベアクロー・・・の如き、影行の大きな手が武の頭を叩きつける様にガバッと掴む
そのまま、グシャグシャと豪快に撫でる
強烈なスキンシップに痛がる武だがその表情の中に嫌という感情は無い
これもまた一つの絆なのだから
少々、荒っぽいが・・・・
「格好を気にしている内はまだまだだな」
「智代の言う通りだ。第一、あの程度の防御壁、突破できなくてどうする?」
女子二人組からは辛い評価
「ばーか、1日に1回しか、戦らねぇって、言っても全力で戦ってられるかよ。なぁ?」
武は祐一に同意を求める
「まあな。でも、破道≠使う必要も無かったと思うぞ。と、言うか使うなら、アレで決めろよ。二つも自分の手札切りやがって・・・」
「う・・・」
祐一の的を射た意見に詰まる武
返せないで口を濁していると
「かっかっかっ、武も祐坊にはもう一生勝てねぇかもな」
「お前ら、そろそろ次の試合が始まってるが見なくていいのか?」
祐羅の一言で全員の視線が舞台へと向いた
その先では・・・すでに戦いが始まっていた
「
火之型
火燕=v
「遅いよ!」
神城凛の放った炎の弾丸を香奈美は軽く避け、ほぼ一瞬で凛の懐に入り込もうとする
「ッ!なめるなぁっ!」
凛は叫びながら刀を振るい、迎撃
「はっ!」
香奈美は冷静にソレに対応
手に持った小刀で刀を横から打つ
その防御策によって斬撃の軌道がズレる
香奈美は防御策の斬撃によって生まれた反動を余す事無く活用するべく、凛の横を勢いを殺さずに回転しながら移動し、そのまま、流れに乗って、首筋に手刀
そして、トドメとばかりに小刀の柄で完全に凛の意識を刈り取った
「そこまで!勝者、七夜香奈美!!」
天低門
岩山正幹VS白銀武
神城凛VS七夜香奈美
「秒殺かよ!」
あまりの内容に思わず、ツッコんだ祐一
それは拙く情けない戦い方
相手が強かったこともその理由の一つではあろう
「神城凛・・・確か、和樹ンとこの分家だったけ」
「ああ、だが、あの程度の腕とは・・・・」
「素質はありそうなんだが」
辛口コメントを呟き、評価を下す
審査員というわけではないが相手の実力を正確に見切るという点ではこれも一種の鍛錬だ
勝手にされた方は堪ったものではないが
北川潤
四大退魔の水術一族『水瀬』の風変わりな分家『北川』の嫡子
『北川』は他の分家と違い、妖魔から『水瀬』を守るのではなく、同族たる人から『水瀬』を守る、言わば、対人戦のエキスパート
退魔師は人にして、人あらざる存在
力は常人を超えていても、その身体組織は人そのもの
そして、妖魔系統の化け物相手の戦略が人間に通じるとは限らない
だから、対人専用の戦力として、取り入れたのが『北川』である
ただ・・・・
「行くぜェェッ!!」
中身はお調子者で熱血漢
少々、視野が狭く、短慮という欠陥持ち
人としては充分だが、対人専門の戦士としては不充分
それに加え・・・相手が最悪だった
斉藤徹
ご存知、名雪にふられ、祐一に嫉妬する愚風
と、まあ、評価は最悪だがこの戦いでは関係ない
「うがぁっ!」
斉藤が手を翳した数瞬後
北川の体が一文字に裂け、鮮血が吹き出た
風術は妖魔に対して攻撃力不足の認識がされているが・・・人に対しては最も相性がいい
なぜなら、人に最も密接しているのは空気である
風、つまりは大気を操る風術師は・・・
人ならば、妖魔を倒すほどの攻撃力が無くても殺すことはできる
人ならば、風刃など直接的な攻撃しなくても酸素濃度を変えてやれば、簡単に倒せる
風術は精霊魔術の中で最強の対人能力が兼ね備えているということだ
「ちっ、なめんなよ!」
懐からナイフを8本、十指の間で掴み取り出す
そして、全本投擲
弾丸とまではいかないが160kmは出ている
しかし・・・相手が悪かった
「それがなんや?」
風によって、全てのナイフの軌道が逸らされる
銃弾ですら、風術師の前では(感知内でならば)意味をなさない
「とっとと・・・去ね!」
トドメとばかりに大き目の風の槌で打ちつける
小さめのクレーターが出来るあたり、それなりの威力はあるらしい
これで、勝負あり
天低門
岩山正幹VS白銀武
神城凛VS七夜香奈美
斉藤徹VS北川潤
「おーおー、こりゃ、ボロ負けだな」
「そりゃ、そうだろ。対人エキスパートでも風術師相手じゃ、キツイぜ」
祐一と武
一族の分家に風術師がいて、尚且つ、よく遊んだり訓練したりしている彼ら
風術師の特性は骨身に沁みている
特に一対一なら、その特性はさらに輝く
装備は全て読まれ、煙幕で姿を消しても風で吹き飛ばす
接近戦は言うまでも無く、銃すら意味を成さない
特に障害も無い密閉空間ですらなく、尚且つ行動範囲が定められているこの舞台内ならば、感知外からの攻撃という点を除けば、その真価を発揮できる
天低門
岩山正幹VS白銀武
神城凛VS七夜香奈美
斉藤徹VS北川潤
浦島可奈子VS神咲楓
今日の分の天低門の試合も消化し、明日の天低門のメンバーが決定する
続く
Shadow Moonより
諸事情により、すみませんが感想は後日……
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