今、ここに・・・・・・・・退魔連合会議が始まろうとしていた
それは数百年も前からある神聖な儀式
退魔の名門同士が集まり、良点悪点を指摘し合い
試合うことにより互いを高めあう重要な儀式
・・・・・のはずだ
少なくとも連合が設立した当初は・・・・・
今では、正直微妙といったところだろうか
会議はちゃんと行われているか?と聞かれれば、そうでもなかったりするがそうでもあったりする
役に立っているかと言われれば正直な話、NOだ
相手の生業の情報など、手に入れようと思えば簡単だろう
裏世界の風評だけでも大半が正しいものだ
試合は互いを高め合っているか?と聞かれれば、これもそうであったりなかったり・・・
結局のところ両方だろう
退魔士としての意識が満ちている者は他者の戦いぶりを見て、良いところを吸収するだろう
逆に意識に乏しい者は、勉強が嫌いな子供が「授業早く終わらないかな〜」とほぼ同じ感想を感じているだろう
それとは別に、各々の戦力の確認にもなる
同時に一族の誇りを掲げあってもいるのだ
決して、負けられないというほどのことでもないが簡単に負けていい訳でもない
そんなことをしては同業者に嘗められる上、評判も下がる
ちなみに前回、前々回の優勝者は相沢祐羅だったりする
誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第3話 退魔連合会議
退魔連合会議の議長なるものは場所ごとに変わる
つまり、今回は神凪が会場に選ばれたのだから、神凪家宗主が司会進行役を勤めることになるのだ
だが、この進行役はあくまで司会進行役であって議長ではない
絶対的な権限は無い
あれば、その家の有利な方向へ進んでしまう恐れがあるからだ
実際、それはあった
先代神凪家宗主神凪頼道
【神凪史上最弱最低の宗主】
これが頼道を言い表す最高で唯一の言葉だろう
神凪頼道
神凪宗家の生まれで現宗主【紫炎の獅子】神凪重吾の実父である
本当に重吾の父親かというほどの人物
炎術師としての実力は宗家でも底辺に位置する
分家最強である大神雅人なら一人で勝てる相手だ
神凪の宗主は最も力の強い術者が次期宗主となる
それが神凪の宗主になる決まりであった
ならば、なぜ頼道程度の術者が宗主になったのか?
それはただ単に頼道が謀略を得意としていたからである
彼は無駄に知恵を振り絞り、彼の時代で宗主候補に挙げられた人物をピンポイントに執拗に攻めた
多少のミスで一族を追放したり、レベルに合わない危険な任務をさせて、間接的に殺したり・・・・
その結果、神凪の戦力は史上最低にまで陥った
宗主となった頼道はさらにその欲望に拍車を掛け、思うが侭にその権力を振るった
法外過ぎる報酬金を要求した
一般人を傷つけ、警察に圧力をかけ揉み消した
賄賂を受け取り、適当な理由をつけて(善悪かかわらず)政治家などを葬った
そして、自分こそが長年現れなかった退魔連合会議の議長だと言い張った
無論ながらそんなもの他の一族達が黙っていなかったので失敗したが
「久しぶりだな、冬治、秋子」
祐羅は隣の陣地に座った水瀬の宗主とその奥方に話しかけた
祐羅より一つ年下で四大元素『水』を操る退魔『水瀬』家宗主
水瀬冬治
見た目は二十代前半だが貫禄は重吾と遜色無いくらいのものを兼ね備えた人物
炎術の最高峰『神炎』の水版
水術の最高峰である『神水』の使い手
強さなら『卍解』使いにも劣らないほどの強さを誇る
「お久しぶりです、義兄さん。祐一君も大きくなられましたね」
「こちらこそ、お久ぶりです、冬治さん」
冬治は祐羅達に挨拶をした後、周りを見回し
「義姉さんがいないようですがどうかしたのですか?」
千夏がいないことを不思議に思ったようだ
「ああ、あいつなら後から千影を連れてくるそうだ」
冬治の質問には祐羅が答えた
千影は母さんが拾ってきた俺の義妹で斬魔刀も魔術も使える自慢の義妹だ
祐一も兄弟姉妹が欲しかったので問題なく受け入れられた
他の宗家連中は五月蝿かったが祐羅が一発で黙らした
最初は千影の方に抵抗があったが今では仲睦まじい兄妹だ
俺は父さんと冬治さん二人の会話を聞きながら意識は他に傾ける
まず眼に入ったのが『七夜』
父さんが言うにはちょっとそこは特殊で人も魔も殺す一族だって聞いた
まあ、人も魔もさして変わらない・・・というか、力さえ除けば人間のほうが怖いだろう
異能の力で魔を殺す生粋の暗殺者
それが『七夜』
特に列の一番前に座っている黒の着物を着て、黒布を額に巻いている男
七夜家当主【鬼神】七夜黄理
七夜史上でも1、2を争う強さを持つ男
見ただけで分かる
強いことが一目瞭然
多分、父さん並に強い
人を殺すことに掛けて彼らより優れたものはいないだろうと謳われているほどだからな
祐一はその隣に座る男の子に気付いた
息子なのだろうか?
大人しそうな少年
青い着物を着込んだ童顔
不思議な感覚に襲われる
形容しがたい複雑ながら単純な感覚
あの少年を見たとき・・・・妙に自分の中に死が入ってきた
怖い・・・・久しぶりに思った
と、そのとき、その少年は俺の視線に気付いた
その透き通るほどの黒燿の瞳に俺が移り、また俺の漆黒の瞳にもあの少年が移る
一瞬、時が停止した
互いの瞳に魅入る
運命的な出会いとはこのことを言うのだろうか?
やOい(伏せ字になってない!)ではないが妙に引き寄せられる眼だ
黒いはずなのに奥底では青く輝いて見える
少年はこちらを見ながらニコッと笑った
無垢な笑顔
暗殺者と呼ばれているところの子供なのになんて無垢な笑顔だと思わざるをえなかった
だが、俺も笑って返した
やわらかい笑み
硬い笑みが出るかと思ったが自然と出た笑みは案外やわらかかった
少年は一瞬戸惑った後、口を開いた
それはちょうど習っていた読唇術
『できますか?』
短く聞いてきた
ま、習っていてもこれが読めないようなら出来ないのも一緒だ
『無論』
簡潔に答える
少年は良かったと笑顔を見せた後
『僕は七夜志貴、貴方は相沢の方ですか?』
『そんなカチコチの石みたいな言い方しなくていいから・・・俺は相沢祐一、よろしくな、志貴』
ちょっと馴れ馴れしいかと思ったが志貴の反応は肯定の頷き
『こちらこそ、ゆ・・祐一』
多少戸惑った返しで俺の名前を呼んだ
頷いて返す
『しっかし、俺はどうもこういう堅苦しい雰囲気は好きじゃないな・・・志貴はどうだ?』
『僕もだよ。特に最初の一日ほど意味の無いものは無いと思ってる』
それは誰もが自分の家は立派だ悪いところなど皆無と言い張るからだ
悪点があるということは恥を曝すのも同じところなのだ
『好き好んで恥を出すとは思えないけどな。それにそういうことに特にうるさそうな奴らもいることだし』
俺は横目で右手のほうに居る神凪を見やる
正確には神凪頼道とその他分家だが
志貴は一瞬驚いた顔をした後、苦笑し
『祐一って、臆面も無くずばりと言うタイプでしょ?』
『おう、ほめてくれても怒らないぞ』
志貴は祐一の性格を大体把握した
七夜にはいなかったタイプだ
『ん?』
こちらを見てくる視線を感じた
その方向を向くと
視線の先は・・・・『式森』一族
ピンポイントで言えば、式森家宗主【鋼覇将】式森牙威・・・の隣にいる少年だ
年のころは俺達と同じぐらいか一つ下辺りだろう
さっきからじっとこちらを見ていたのだ
『もしかして・・・・わかった?』
『うん』
短く少年は返した
こりゃやられたと頭を叩きたくなったが不自然なので心の中だけで思った
実際は苦笑しながら少年のほうを向いて
『聞いていたら、わかると思うが一応な・・・俺は相沢祐一』
『僕は七夜志貴、君は?』
『僕は式森和樹だよ。ええと・・・祐一さんと志貴さんでいいかな?』
遠慮しがちに聞いてくる和樹
どうやら、あの部分まで聞いていたらしい
敬語を使ってあるがそれは年上への敬語
少なくとも子供が年上の子供に使う程度の・・
『うん、かまわないよ。よろしくね、和樹君』
『俺もよろしく、和樹』
『はい!』
元気よく返事をする和樹
とは、言っても声は出していないのだが
『和樹は・・・って、おしゃべりは終わりのようだ』
もうほぼ全ての退魔が集まっていることに気づく
志貴と和樹もそれに気付いたようで最後に一言
『これが終わった後で話そうよ』
『いいですね、僕もそうしたいです』
『OK、じゃあ、今度は実声でな』
俺の言葉を最後に読唇術による会話を終わらせた
それと同時に神凪宗主神凪重吾とその他が入ってきた
ようやく会議が始まる
神凪重吾は一人立ち上がり、資料であろうファイルを持って司会役を務めようとする
「今日は皆様、退魔連合会議のため、神凪に集まっていただき感謝いたします」
差当たりの無い挨拶をする
先代ではなく、鳶が鷹・・いや、雀が朱雀を生んだと言われている重吾は人格者で術者としても有能だと、言われているので本当に心の篭もった感謝だろう
誰もがそう理解する
それは事実で洞察力の鋭い者なら重吾の気持ちを大体はわかった
「私は神凪家宗主神凪重吾、そして、これが私の娘神凪綾乃、従兄弟の神凪厳馬、その息子神凪和麻です。神凪共々よろしく御願い致します。それでは石蕗家の方々から始めていただきましょうか」
重吾はそう言って石蕗の宗主である石蕗巌に視線を向けた
巌は承知したとばかりにその岩窟そうな顔と体のまま立ち上がり自己紹介を始める
最強の炎術師の一族『神凪』
歴代でも始祖さえ除けば1、2を争う神炎使い【紫炎の獅子】 神凪重吾
その娘であり、次期宗主と名高い潜在能力はある双巫女が一 神凪綾乃
炎術では重吾に一歩譲る神炎使い【蒼炎の牙龍】 神凪厳馬
綾乃とは逆に宗家にして炎を操れない厳馬の長男 神凪和麻
和麻の妹にして、天才と呼ばれる炎の双巫女が一 神凪咲耶
最強の地術師の一族『石蕗』
岩窟不動、岩のような現石蕗家宗主【不動大岩の化身】 石蕗巌
地を操る力を持たずに異質な力を持って生まれた異界の美貌を持つ長女 石蕗紅羽
巌とは似ても似つかない石蕗の次女にして巫女 石蕗真由美
分家にして真由美の親友ということで連れてこられた次期岩山家宗主 岩山勇士
最強の水術師の一族『水瀬』
温和な顔立ちの若き水瀬家宗主【銀耀の使徒】 水瀬冬治
元相沢家であり、千夏と並ぶ《卍解》修得者【氷界の女神】 水瀬秋子
次期宗主と名高い水瀬の天然巫女 水瀬名雪
分家ながら極稀に生まれる珍しい氷術師 美坂香里
魔ではなく人から『水瀬』を護り続けてきた『北川』の次期当主 北川潤
中国の凰家のように神器〔虚空閃〕こそ無いが力はほぼ同等の風術師の一族『斉藤』
情報能力に長けた斉藤家宗主 斉藤栄
風術師としての実力なら宗主クラス 水瀬名雪に一目ぼれ求婚し断られたお馬鹿さん 斉藤徹
念動と透視を行使し、退魔を担う『浅神』
呪咀(市子)を得意とする退魔、能力的には内包型が多い『巫浄』
報告をする者のみで他には皆無
陰陽の理を持って退魔を行なう両義
二重人格、陰と陽を内包する死に近い少女 両義式
退魔と暗殺を生業にする異端の退魔一族『七夜』
現当主であり人を殺すことに掛けては右に出るものはいない【鬼神】七夜黄理
その息子で両義式同様に『死』を見極める魔眼を持つ少年 七夜志貴
数々の魔術師の血を受け継ぎ、強力かつ至高の魔導具を創作し、使役する『式森』
現式森家宗主にして、世界でも十指に入る実力者【鋼覇将】 式森牙威
牙威の息子で次期宗主確定している世界最高峰の魔術師の素質を持つ者 式森和樹
武衣攻法≠扱う分家『杜崎』の次期当主で長身の美少女 杜崎沙弓
剣鎧護法≠扱う分家『神城』の次期当主で背の低い美少女 神城凛
剣と氣を行使し、神鳴流を駆使する『青山』
長きに渡り戦い続けた経験ではbP現青山家当主【猛鬼】 青山國貞
歴代でも1、2を争う腕前を持つ【剣の鬼姫】 青山鶴子
鶴子の妹で実力は未知数 青山素子
『青山』と同じく氣を行使し、柔術と真鳴流槍術を駆使する『浦島』
前線は遠のいたがそれでもまだまだ浦島最強の破天荒婆さん【武神】 浦島ひなた
本人は乗り気じゃないが次期宗主の器、鬼才の少年 浦島景太郎
真鳴流では珍しい銃火器を得意とする少女 浦島はるか
拾われた子ながら天才と呼ばれる才能を持った少女 浦島可奈子
霊力と武具を行使し、神咲『一灯』『真鳴』『楓月』流を使役する『神咲』
神咲『一灯流』の当代 神咲和音 次代の当代を担う神咲薫
神咲『真鳴流』の当代 神咲亜弓 次代の当代を担う神咲葉弓
神咲『楓月流』の当代 神咲朋貴 次代の当代を担う神咲楓
霊的異質物体化能力『斬魔刀』を駆使する『相沢』
日本最強の退魔師と謳われる《真解》に到った戦神【阿修羅王】 相沢祐羅
斬拳走鬼、攻守共に優れ、一撃必殺を心情とした大雑把少女 鉄乙女
空を舞い、超人の様な三次元戦闘の奇才 白銀武
拳走ならば、同年代1、夜中にチンピラ退治を営む不良少女 坂上智代
目標は父を超して更なる高みへ、鬼才と落ちこぼれの名を持つ幼き狂戦者 相沢祐一
物語は紡がれていく
続く
高さ自由のあとがき
第一話と第二話で変更したところの後始末だけで終わりの改訂
後、紹介文に乙女、武、智代を追加
Shadow
Moonより
今回のお話は、神凪の悪行と各派の人物紹介といったところでしょうか。
それにしても神凪、やりたい放題ですね。 さすがにここまでやれば、他の家が黙っているわけもないのに、気付かなかったのでしょうか?
さてさて祐一君、友達を作るのが早いですね(w
厳格な家で育てられた他の子達は、友達の作り方をあまり知らないのかも。
会議や合同訓練がどのように進められていくのか、次回も楽しみにしています。
高さ自由様へのメールはこちらへ。
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