『退魔連合』

精霊魔術を使う退魔四家『神凪』『石蕗』『水瀬』『斉藤』
                     
異能の力で妖魔や人を滅する四大退魔『浅神』『巫浄』『両義』『七夜』

強大な魔力を誇り、魔導具を創作、行使し妖魔と戦う『式森』

霊力と霊力を秘めた武具を行使し、妖魔を屠る退魔『神咲』

武具と氣を使い、五行陰陽を操り妖魔を退ける神鳴流『青山』『浦島』

『神咲』と同じく霊力を行使し、『斬魔刀』を振るう退魔『相沢』

これら十三家の集まりを呼ぶ

『退魔連合会議』

名前のまんまの意味だ

今、上げた一族の代表である五人程度が二年ごとに集まり、自らの二年毎の退魔の結果報告をする

そして、一族同士の試合

大人部門と子供部門にわかれ、一族につき、三人ずつ代表が出る

自らの誇る術同士をぶつけ合い、術を高めあう

場所は二年毎に変わる

そして、今回は・・・・・最悪も最悪、『神凪』本家だ

      

(だれ)よりも()(だか)(つよ)く、そして・・・


第1章  第1話         
電車の中で







「暇だなぁ〜〜〜〜〜〜」

移り行く外の景色を見て祐一はそう声を思い切り、声に出す

ガタンゴトンガタンゴトン

電車に揺られて相沢一行は目的地に向かう

目的地は・・・・・神凪本家

今の祐一の気持ちを正直に表すと

最悪!!

なのだ!

なぜなら、あの神凪の屋敷に行かなければならないのだから


最強の炎術師一族


と、まあ、表向きの看板は聞こえの良いものだが裏から聞こえてくる噂は最悪最低

窃盗、暴行、恐喝、賄賂、強盗、強姦、果ては殺人、殺戮

犯罪のオンパレードだ

自らの術を護るべき弱き者に向かって行使したとも聞く

罪を犯したとしても先祖代々からの功績と威光、政府に作ったコネを使い回し、無罪放免

特に殺人と殺戮に関しては退魔に見せ掛けてあるので性質(たち)が悪い

退魔連合の恥さらし

幼い祐一ですら、そう感じているし、また不変不動にして周知の事実でもあった

(でも、いかないとダメだよな)

とはいえ、一応だが名門『相沢』の嫡男

残念だが行かなくてはならない

ちなみに今日、神凪に行くメンバーは10人

宗家からは宗主の相沢祐羅

その嫡男の相沢祐一

分家からは

基本戦術斬術≠得意とする分家一派『川澄』からは当主代行として川澄塁

攻撃系鬼道破道≠ノ秀でた『斬魔師』を多く輩出する分家一派『白銀』からは当主白銀影行とその長男白銀武

防御型鬼道護道&竢阜^鬼道縛道≠ノ秀でた分家一派『鉄』から鉄乙女

治療系の斬魔刀所持者がほとんどを占め、癒道≠ノ秀でた分家一派『深山』からは当主代行として深山冬香

格闘術白打≠ニ歩法≠得意とする分家一派『坂上』からは当主代行の坂上闘夜と長女の坂上智代

最後に風術≠使って探索・情報収集・戦闘補助を主とした『浅葱』からは当主浅葱空

である

後で数人来るらしいが仕事を終えてから来るそうなので遅くなるとのことだ

ちなみに試合に参加する者達は

大人部門:????、白銀影行、坂上闘夜
子供部門:白銀武、鉄乙女、坂上智代

の六名だ

この時点で規定人数を超えているのだが試合参加者は人数に数えていない

電車はグリーン車にして子供は子供同士の席に据わっている

普通、宗家と分家では格差があるが相沢家では無いに等しい

仲間という家族に上下関係は不要

儀式や客を迎えるときは別だが




相沢祐一と鉄乙女、正面に坂上智代と白銀武という席順で座っている

お昼時なので重箱を広げて、仲良く昼食タイムと洒落込んでいた

料理は祐羅の妻で祐一の母である相沢千夏が作った物

ちなみに重箱は四人の中心に置かれている

霊子によって作られた場に乗せられて

乙女さん曰く、能力の無駄遣いだそうだが便利なので文句こそ、言わなかった

「はぁ〜、やっぱり母さんの料理はうまい」

感動しながら祐一はバクバクと料理を口へ運ぶ

ハイペースだが量自体、かなり多いので減った感じがしない

「祐一!それは俺のカマボコだぞ!」

「武こそ、さっき俺の海老、取っただろうが!!」

「早いもん勝ちだ!」

「なら、文句言うな!」

ギャースカ言い合う二人

「喋りながら食べるんじゃない!行儀が悪い上に他の客にも迷惑だ!!」

この四人の中で一番年長者の乙女が二人を叱る

武も同い年なのだが精神年齢は低い

「「乙女もね」」

返ってきたのは息の合った皮肉のツッコミ

無言で拳を二人に放つ

が、祐一には避けられ、武には止められた

「ッ!!」

今度は得意の蹴りを放とうとするが・・・・

「乙女さん、落ち着いてください。祐一と武も止めないか!重箱がひっくり返るところだったぞ」

それは智代によって止められた

ふざけすぎたことと料理が台無しになることを思えば・・・・

「「ごめんなさい」」

二人はあっさりと謝る

主に後者のことを気にかけての謝罪だ

乙女も自制ができていなかったこともあり、それ以上の追求はしない

そして、再び、昼食再開

「しかし、千夏さんの料理が美味しいことは確かだな。このダシ巻き卵、いい味だ」

パクッと食べながら智代が感想を呟く

「うん、悔しいが私よりも遥か上だ」

(((そりゃ、おにぎりだけじゃなぁ・・・・・)))

三人の心の声が一致

言葉にすれば、具のレパートリーがどうのこうのと言い出すだろうから口には出さない

乙女が出来る料理といえば、おにぎりのみ

まあ、うまいことはうまいのだがあまりにも大雑把過ぎる

「あ〜、美味かった」

「祐一、お茶だ。武と乙女さんも」

智代が魔法瓶を取り出し、紙コップにお茶をいれ、三人に回す

「お、あんがと、智代」

「サンキュ」

「ありがたく頂こう」

ズズ〜と緑茶のように啜る

なんだか、爺くさい

「・・・今頃、舞や留美奈達は残念がっているだろうな」

屋敷にいるであろう友人達

今回の会議・・・と、いうより、試合に参加するのを楽しみにしていたのに抽選で選ばれなかった分家の子ら

「選ばれなかった時のあの表情ときたら・・・・ぶわははははは!!」

思い出して、思いっきり笑う祐一

「他人の不幸を笑うものではない」

乙女が諌める

「でもよ、試合に出られるのは三人のはずだろ?なんで、四人もいるんだ?」

「それは私も気になっていた・・・・・何を企んでいる、祐一」

乙女が祐一をギラリとした目で睨みつける

虚言は許さないと目が告げている

だが、祐一はニヤリと笑って返し

「内緒だ・・・・まあ、そのうち、わかることだから楽しみに」

煙に巻いた

こういうときの祐一はどれだけ押して引いても口を割らないだろう

力尽くでは余計ダメだ

今よりさらに小さい頃は祐一を泣かしたこともある武と乙女

だが、今では逆転され、二人がかりで負けた

祐一は当然ながら《初刀(はとう)》状態、武と乙女は《始解(しかい)》状態でだ

武と乙女は同年代では宗家分家を合わせても上位に位置する戦闘力を誇る

祐一達ぐらいの年齢層の子供はとかく、順位を気にし、形に表したがる

まあ、大人でも言えることだが面子を気にして、表立ったことはしない

そういうことで相沢の練武道場には総当り形式試合ボードがある

ちなみに和風の道場なのに紙ではなくホワイトボードなのは何度でも書き直せるからだ

そこには試合回数、勝利数、敗北数、引き分け数、勝率、最大霊力値、戦法の評価、課題点などが大まかに書き込まれている

事細やかに書かれないのは自分の力のことを主観的にしかわからない子供達に客観的な自己評価能力を養わせるためだ

それによって、自分だけではなく、相手の実力を把握する能力も養われることになる

さらに相沢では訓練内容が個人個人でかなり違う

斬魔刀はまだ《始解》を覚えていない時は《初刀》の種類によって、それにあった斬術≠習う(例えば、日本刀タイプの《初刀》なら、日本刀の霊的剣術式斬術≠ニ鬼道=A歩法≠習う

《始解》を覚えたら、そこからはまた違う

斬術≠ヘ相沢、または川澄の師範に許可を得るまで続け、鬼道≠ニ歩法≠ノ関しては変わらない

ただし、その間、斬術≠フ練武時間は三分の一となり、残り三分の二は《始解》の鍛錬だ

斬術≠必死になって覚えるより、《始解》の扱いを覚えたほうが早く強くなれる

ただし、戦場では何が起こるかわからないのである程度の斬術≠ヘ習得しておかなければならないのだ

そして、相沢では練武を日曜日以外の週六日、行っている

祭日は休みになることは多いがそれでも凄まじい練武日数になる

だが、彼ら斬魔(師)士は悪を成す人外の存在と戦う事を生業とする

死亡率は極めて高く、それも初任務の者が特に高い

故に成長期である子供達に基礎を教え込むことはその死亡率を減らすことに繋がる

だが、全て奪い取ってしまっては、一人前となったとき、戦うことしか知らない戦闘機械となってしまう恐れがある

その代わりといっては何だが、遊園地などの娯楽施設からの依頼でフリーパスをつけてもらったりして、家族サービスをしたりするものもいる

ちなみに年間フリーパスの場合は他の者達に回すこともある

『練武中は厳しく、普段は優しく』が相沢一族の教育方針

決して、強制ではない

育て方は人それぞれだ

だが、虐待や過労をさせる者にはきつい罰が降る

人外の存在達と戦う者達ではあるが決して、人の道を外す真似は許されない

戦闘力のみを追求した『強さ』を得られても、それは真の『強さ』とは言えない

何が真の『強さ』なのだ、と聞かれては返答に苦しむが前者の『強さ』ではないことは確かだ

かなり話がずれてしまった

現実へ戻ろう



「・・・・眠くなってきたな」

満腹状態になった祐一に眠気が襲ってくる

「到着までまだまだ時間がある。膝を貸してやろう」

「ん・・・じゃあ、遠慮なく」

祐一はゴロンと乙女の膝枕に頭を乗っける

「(く・・・出遅れた)・・・乙女さんも疲れているでしょう。良かったら変わるが・・・」

「結構だ。年長者である私に任せておけ」

二人の間に火花が散る

(・・・怖ぇ・・・・)

武も眠たかったのだが二人の放つ険悪な雰囲気に圧されて眠ることは出来なかった

その状況下でもスヤスヤと眠る祐一を羨ましく思いながら、武は二人の戦いを見守った


続く


高さ自由のあとがき

修正部分は最初の『神咲』『浦島』が同じ紹介文でしたが『青山』『浦島』に変えさせていただきました

それから舞の姉という設定でオリキャラである楓を止めました

大して、修正は加えてないので読み返す必要は少ないかもしれないです



Shadow Moonより

宗家と分家、大人は身分に何かこだわりを持っているようですが、やはり子供はそんな事など関係なく健やかに育って欲しいものです。
祐一君達の、そんな事など気にせず仲良く遊んでいる姿は微笑ましいですね。 某生徒会長とかは、子供の頃からこだわってそうですが(爆)。
さてさて、正義の味方風の退魔連合ですが、やはりどこにでも傲慢者はいるものです。
子供とはいえ親が偉いと、そんな所へ行かなければならない祐一君達が不憫ですね。
そんな所へ行く以上、事件は必至と思いつつ、次回も楽しみにしています。


高さ自由様へのメールはこちらへ。

戻る  掲示板