俺、相沢祐一はその人と出会った
初めての一人で行う仕事
内容は標的である悪霊の討伐
当時の目標だった父さんに認められようと俺は意気を振りまいて臨んだ
だが、実際には悪霊を遥かに超えた難敵
渡された情報とは違い、敵は悪霊ではなく悪魔だった
妖魔ならまだなんとかなったかもしれない
だが敵は妖魔を遥かに超える力を持った魔界に住まう者
山羊の頭と角、筋肉モリモリ4mの巨体、馬の二本足、ライオンの尻尾
レッサー・デーモン
下位悪魔ではあったが当時の俺が勝てる相手ではなかった
だからといって、死ぬのは嫌だ
父さんや母さんの教え通り、死ぬ瞬間まで諦めずに戦った
だが、敵の攻撃に吹き飛ばされ、瀕死状態で地面に転がされて
迫り来る『死』を逃れず抗えず
ただ、レッサー・デーモンを睨み返すことしか出来なくて
悪魔の魔手を最後の映像とすることしか出来ない・・・・
・・・・・はずだった
だが、その時、俺はそれに覆われた
光と闇の集合体・・・・混沌、カオスと呼ばれる力
正六面体のカーテンとなり、俺を覆い尽くし、レッサー・デーモンの攻撃を防いだ
五度、強大な魔力を帯びた豪腕が混沌のカーテンを殴る、殴る
だが、カーテンはビクともせず、直撃すれば、肉片一つ残れば御の字の威力を誇る豪腕による拳撃は全て弾かれる
そして、その人が天空から降りてきた
いや、『人』と言うのは間違いだろう
あの方は人ではない
よく覚えている絶対に忘れられないあの姿
「死ぬ間際でも恐怖しないか・・・面白い」
白亜と漆黒が融合した混沌の剱を携え
純白の五翼と闇黒の五翼を生やした
この世のどの存在よりも美しく、気高き神魔天使
「褒美だ、小僧・・・その目にしっかりと焼き付けておけ」
どこからともなく、力と同じ混沌色の
右手で剣を持ち、頭上に掲げ、左手を刀身に添える
するとその刃に強大な力が集束される
大気が震え、全ての存在が圧倒される究極の力
目の前のレッサー・デーモンでさえも、アレの前では俺と差はない矮小な存在
そして、混沌の刃が振り下ろされる
「
豪烈!撃砕!!爆滅!!!
大・殲・壊
の言葉が相応しいくらいの一撃
極大の牙は隕石の如く、レッサー・デーモンに降星
回避も防御も間に合わず、直撃
一瞬にして、その存在は消し飛ばされた
父さんでさえ、及ばないその超威力
人ならざる力の最高峰
俺は何も言えず、魅入られるようにその光景を間近で見ていた
圧倒的かつ絶対的なその力に・・・・・
運命とか言う言葉は好きではないがこれだけは言える
あの人に会ってから俺の生き方に変化が訪れたことが
俺はもう一度あの人に会うために・・・
あの人の隣に立てるように強くなる
そう、誓った
他の誰でもない
俺という、この世界に存在する『相沢祐一』の存在に、だ!!
誰よりも気高く強く、そして・・・
第1章 第0話 『相沢』
そこは日本のある森林の中枢にある大きな屋敷
誰が見ても歴史ある造型で多少増築や改築はされているが貫禄を持った屋敷
周りには結界が張られていて外からは森林の一部にしか見えない
人避けの結界も張られており、ここの所在を知る者か意志の強い者しか、ここにはたどり着けないようになっている
さらに、山にも結界が施され、山自体、個人所有となっている厳重さ
意志も弱く、ここの所在を知らぬ者が入ろうとすれば、そこは迷いの森と化す
それほどまでに隠さねばならぬ物なのか・・・・答えはYES
なぜなら、そこには一般的な者達とはかけ離れた能力を持つ存在が住む場所
誰もが知っている一般常識を覆しかねない力を保有する一族
一般人は生涯を通してほぼ知ることも無い裏の世界に身をおく者達
その力は私利私欲のためではなく、力無き存在を護るために使役される力
この世の歪みたる妖魔を退け、大切な
そんな力を保有する者達
世界に数ある『退魔』の中でも十本の指にも入る有名な一族
その名は『相沢』
霊力を操り、稀有なる力『斬魔刀』を創造、使役し戦う『斬魔士』、または『斬魔師』と呼ばれる者達の一族
霊力が少ないときに《初刀》による剣術斬術
他にも霊力を使った霊術鬼道
鬼道≠ノは
攻撃型破道
防御型護道
補助型縛道
治療型癒道≠ネどがある
刀ではなく、己の肉体を使った霊的格闘術白打
霊力を使用した移動法歩法
『斬魔刀』とは、『斬魔士』の才を持つ者の霊力によって創られし万変武具
初めはどれもが普通の日本刀かそれに準じた形をしており、その状態を《初刀》と呼ぶ
さらに『斬魔刀』には、《初刀》《始解》《卍解》《真解》がある
右に行けば行くほど強く、また会得難易度も高い
初期段階である《初刀》
第一段階の《始解》は一族のほとんどの者達が幼少時に覚えることができる
第二段階の《卍解》に到る者は天才と呼ばれ、今の『相沢』一族でも宗家分家を合わせてその数は三十人程度
最終段階である《真解》に到るものは非常に少なく、千年以上もの歴史を誇る『相沢』一族でも《真解》に到ったのはたったの12人
《真解》は心技体を極め、さらに『真』の強さを持った者だけが辿り着ける極地とされている
そして、歴史上十二人目となる《真解》に到ったのが現相沢家宗主である相沢祐羅
その力は神をも魔王をも屠ると言われている
さらに相沢宗家を筆頭に分家が六家存在する
霊的剣術斬術≠得意とする分家一派『川澄』
攻撃系鬼道破道≠ノ秀でた分家一派『白銀』
防御型鬼道護道&竢阜^鬼道縛道≠ノ秀でた分家一派『鉄』
治療系の斬魔刀所持者がほとんどを占め、治療系鬼道癒道≠ノ秀でた分家一派『深山』
霊的格闘術白打≠得意とする分家一派『坂上』
風術≠使って探索・情報収集・戦闘補助を主とした分家一派『浅葱』
どの一派も専門方面については一流以上の実力を誇る
キンッ キンッ ギィィッン
屋敷の中庭で剣撃音が鳴り響く
いや、斬り合う音・・斬撃音が鳴り響く
「ほらほら、どうした?そんなことじゃ、俺には一撃も当てられんぞ?」
「うるさい!」
小太刀二刀を振るう相沢祐一
相沢家宗主相沢祐羅の実の息子で類まれなる才能を持ちながら落ちこぼれという微才
齢九歳にして、剣、格闘の腕前は一族でも上位に位置する
鬼道≠燻lつの型を全て扱え、霊力などは一流の斬魔士をも超え、宗家でもトップクラス
親にも誰にも言われるまでも無く、一日も欠かさず鍛錬し、自分を磨き上げている
才能に胡坐を掻かず、むしろ、才能が遅れていってしまうほどに・・・・
ただ、彼には一つ欠点があった
それは・・・・《始解》ができないことだ
通常、祐一の年くらいなら誰もが普通に《始解》は覚えている
だが、祐一はまだそれを覚えてはいなかった
たまにそんな人達がいるがその人達は事務や交渉などの内務関係に回され、実戦実務からは遠ざけられるのが普通
しかし、祐一はそんなこともせずに、稽古を続けている
その理由は・・・・
「はぁっ!」
袈裟懸けの斬撃
二人とも得物は木刀・・・・ではなく、祐羅は《初刀》の『斬魔刀』
祐一の《初刀》は小太刀を二本
言わなくてもわかると思うが真剣だ
下手すれば、死もありうるが相手は《真解》に到った祐羅
勝てるわけもない
祐一も心の片隅では今では勝てないとわかっているからこそ、ただ自分のもてる全てを出し切る
1%の勝率が無くとも自分の力が残っている限り、勝率を引き上げ、勝利へと変えるために戦う
これが、祐一が未だに無い無関係に回されない理由
《始解》が無くとも祐一は強い
他の宗家や分家の連中を合わせても祐一ぐらいの年齢層では祐一がダントツに強い
瞬歩≠始めとする歩法の大半を修得し、破道∞護道∞癒道≠含む鬼道≠半分以上修得、さらに禁道≠ニ呼ばれる鬼道≠フ禁断魔法的存在の一つを修得していた
並の斬魔士では相手にならないほど祐一は強かった
これでは内務に回すなどできはしない
左刀で薙ぎ、そのすぐ後に右刀で突き
だが祐羅は優々とそれを防ぐ
突きから薙ぎに変化させ、その回転運動を利用し、足払い
それは当然のように避けられたが狙いは次
一歩踏み出し、懐に入り込み、二刀ならではのクロススラッシュ
交錯する斬道
「あまいあまい」
だがそんな祐一の双撃も一刀の元に弾き返される
祐一は戦法を変え、後退しながら、詠唱
「
破道の二十一 白劉=v
すると掌から白光に輝く螺旋が祐羅に向かって突き進む
祐一が得意とする聖光系鬼道だ
常人なら確実に貫殺するぐらいの威力を誇る
だが、そんなもの祐羅には通用しない
祐羅なら剣圧だけで吹き飛ばせるがここは同じく鬼道≠ナ勝負を仕掛けた
「
祐羅がそういうだけで地面から石の壁が出現
高等技法無詠唱鬼道≠セ
石壁≠ヘ『護道』の中でもレベルは低いが祐羅ともなれば別
螺旋光は石の壁に激突するが多少罅を入れさせただけで終わる
「まだまだぁっ!」
祐一は石の壁を迂回して
双穿撃
ダッシュの勢いもついているため、威力が上がっている
子供ながらに握力60kgの祐一
これならば一撃くらいは・・・と、祐一の頭を掠めたが・・・・・・甘い
その程度では祐羅には通用しない
「中々だがまだ甘い!」
掬い上げの斬撃で祐一の懇親の攻撃を迎え撃つ
ガキィィッンッ
祐一の今日最高の一撃はあっさりと祐羅の攻撃に弾かれた
「くっ!」
かなり重い斬上
なんとか、小太刀は放さなかったが腕が痺れる
ただでさえ、九歳と二十九歳では体格からしてまったく違うのだ
技と技術でカバーできることは出来るがそれでも祐羅の方が遥かに上だ
「疾ッ!」
今度は攻め方を変えてみた
先ほどまでは力強いが直線的な単調な攻め
今回は速さを主とした撹乱作戦
体格が未熟な子供ならではの攻撃
幻走
祐一は歩法の一つを使用
霊力を使った特殊なステップを踏むことによって、影分身を生み出す
相手を撹乱するには最適な歩法
「ほぅ・・・使えるようになったか」
「大分、前に・・・・ね!」
幻も合わせた一斉攻撃
四方八方から祐一達?が襲い掛かる
「すくねぇッ!」
烈風陣
祐羅は刀を自分中心に旋回薙ぎ
凄まじい剣風が放たれる
人なら銃数メートルは吹っ飛ぶ
まるで爆風だ
「それを待ってたんだ!」
「
護道の三十七 第三番 四面鏡転
護道の三十七 鏡面≠フ上級応用術を発現
護道の三十七 鏡面≠ヘ自分の目の前に霊力でできた鏡を創り出し、相手の攻撃を跳ね返すというもの
これはその鏡面≠発動者が中心に四角形になるように展開する四面鏡転
これならば、剣風は防げるのだが・・・・
だが、祐一の周りには変化は無い
失敗かと思われたがそれは違う
ちゃんとそれは発動している
・・・・・・・
「なんだと!」
さすがの祐羅も慌てた
まさか、祐一がこの術を覚えているとは思ってもいなかった
そして、こんな戦法ができるほどに成長していたことに
祐羅が感想を思い浮かべている間にもその戦法は完成していく
烈風陣≠ヘ四面鏡面≠ノよって全反射
全てのエネルギーが発生源である祐羅に向かう
さらに、それと同じくして
破道の四十九 黒威=v
祐羅の頭上に闇が集合し、祐羅に向かって一メートルほどの漆黒のレーザーが落ちる
祐一の今出来る『鬼道』の中でも二番目に高い威力を誇る闇黒系の破道
前々からこの戦法を成功させるために練習していたのだ
今の祐一では描くのに数秒かかってしまう
だから、四面鏡転≠発動した時点ですでに描いていたのだ
降り注ぐ黒のビームは常人ならば跡形もなく消し去る
そんな術を実の父親に向かって放つとは恐るべし祐一
全エネルギーは完全に祐羅に向かう
さすがにこれは死んだ・・・・と、も思われたが・・・
「
疾空の風
不動の大地
流舞の水
冷徹の氷
轟覇の雷
蹂躙の重力
我が刃と成せ
〔星天虹麟〕」
霊力と霊圧が急激に変化した
同時に祐羅のいたところが爆発
爆撃並みの爆風が周囲に吹き荒れる
ただの爆風ではない
霊力の爆発で生み出された爆風だ
これだけで悪霊や邪霊程度なら数百いようが完全に滅却される
鏡面≠熹ス射された烈風陣≠熈黒威≠熨Sて消し飛ばされた
鏡面≠ネどは一瞬の拮抗もなくだ
それもそうだろう
これこそ、裏の世界で誰もが恐れ、『相沢』では誰もが畏怖し尊敬し目標とする祐羅の《始解》斬魔刀
形は西洋剣で肉厚の刀身
炎熱、流水、氷雪、雷電、風嵐、大地と特殊属性の引斥の七つの属性を秘めた強大無比の斬魔刀
〔星天虹麟〕
「ゆぅぅぅぅうううぅぅぅいぃぃぃぃいいいちぃぃぃぃぃっ!!!!!」
腹の底・・・いや、地獄の底のそのまた奥のそのまた底から聞こえてきそうな声が祐羅から発せられた
聞けば誰もが恐怖するだろう
すでに大地や森全体が怯えるようにざわめく
霊力で起こしてもいないのに風が突然発生し、木の葉を撒き散らす
森にいる動物や虫、地面の中にいるモグラまで引越しの準備もする間もなく、逃げ出しているだろう
彼らには迷惑極まりない
だが、それを知ったところで祐羅は止まらないだろう
伊達に【阿修羅王】と呼ばれてはいない
出されるのは殺気ではなく怒気
人の怒りで自然をも震わせるとは・・・・・本当に恐るべし
「貴様ぁッ!実の親に向けてこれほどまでするのか!死んだらどうする気だ!!私ではなかったら死んでいたぞ!」
「大丈夫、親父と妖魔以外にはしないから」
祐羅の激怒の言葉にあっさりと返す祐一
しかも妖魔と同列扱いされている
キッパリと即答で返された祐羅は一瞬呆けた後
「私にもするな、この馬鹿息子!」
「どうせ効かないくせに・・・それから、親父」
祐一は二刀を持ったまま、両腕を頭の後ろで組み、ニカニカと悪戯成功とばかりに微笑む
今日初めて見せた子供らしい笑顔だ
祐羅はそんな祐一を見ていぶかしげな顔をする
「どうした?」
「ん・・・・それ」
祐一が視線で指したのは祐羅の手に持っているもの
虹色に輝く剣
相沢祐羅の《始解》斬魔刀〔星天虹麟〕
加えて、祐一の《初刀》小太刀二刀
そこでようやく祐羅は気付いた
同時にまずいとも思った
「ま、待て!ちょっと待て、祐一、これはだな・・・」
大人らしい言い訳を紡ごうとするがいい台詞が浮かんでこない
祐一は呆れた眼で
「格好悪いよ、父さん」
失望の言葉を言い放つ
しかも、戦闘モードを解き、通常状態の祐一に変わっている
証拠に呼び方が親父から父さんに変化している
ガ〜ンと落ち込む祐羅
【阿修羅王】とまで呼ばれ恐れられた人物が・・・・情けない
祐羅も一人の親だということだ
「第一、今の戦いは『鬼道』ばっかだろうが!男ならぶつかり合いだろう!」
「戦いに卑怯も糞も無い。使えるものは全て使えと教えたのは父さんだろ?」
「ぐ・・・・」
祐一の正論と自分が教えたことを持ち出され詰まる祐羅
さらに祐一は休む暇を与えない
「それに俺が近接戦闘を一番得意で『鬼道』はサポート程度にしか使ってない『今まで』が最初の時点での狙いなんだから」
つまり、今までの戦術をフェイントにした、というわけだ
必死に頭使って編み出した戦術
一回こっきりだけど通用した
父さんはぜんぜん本気出してないけど・・・・
条件は満たしたから俺の価値に違いは無い!
「ぬ・・・・・仕方がない、認めてやろう・・・だが、一回戦で負けるなんて許さんぞ」
「はいはい、わかってますって」
この会話の重要な部分がなんであるかは秘密
また後で出すからな
「んじゃ、このまま、出かける前にもう一勝負ってのはどうだ?」
「うん!じゃあ、行くよ」
祐一は小太刀を握りなおし、構える
そして、物語は始まっていく
続く
高さ自由のあとがき
最初の部分に追加してみました
祐一の目標となる人物、大体の構造は描写しましたが実はまだ名前(これは募集しません)が決まっていませんし、登場自体も相当後になります
度重なる改訂に戸惑うとは思いますが精一杯、書かさせて頂きますのでこれからもご愛読よろしくお願いします!!
Shadow
Moonより
はじめまして、新連載SSありがとうございます。
刀や術の設定は、BLEACH-ブリーチ-からとの事ですが、話の展開はまた別のようで。
さてさて、いきなり父子の技の応酬。 力の足りない部分は知恵で補う祐一君がまた凄い。
『始解』ができない祐一君ですが、それには何か理由か原因があるのでしょうか?
まだ9歳の祐一君がどのように成長していくのか、今後の見所ですね。
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